刑法 第238問
教材: 刑法②
司法試験 H19 第1問(改)
論点: 誘拐罪等
問題
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【事例】 甲は、女子中学生を自動車に乗車させるなどしてホテルの一室に連行し、睡眠薬を服用させて熟睡させた上、同女にわいせつな行為をすることを企て、自動車を運転中に見かけた女子中学生乙(14歳)に対し声を掛け、「君のお母さんが交通事故に遭って病院に運ばれた。私は病院から頼まれて君を迎えに来た。お母さんのいる病院まで連れて行ってあげるから車に乗って。」と虚偽の事実を述べた。甲の言葉を信じた乙が甲運転車両の後部座席に乗車すると、甲は、同車を運転して同所から約10キロメートルの地点にあるホテルAに向かった。甲は、同車を走行中、信号待ちをしている間にあらかじめ用意しておいた缶飲料を開け、密かに睡眠薬を混入させた上、「飲むと落ち着くよ。」と述べて乙に手渡した。乙は、甲から手渡された睡眠薬入りの缶飲料を飲むと間もなく眠り込んだ。甲は、乙を自動車に乗車させてから約30分後にホテルAに到着すると、眠り込んだままの同女を抱きかかえて同ホテルの一室に連れ込み、ベッドに横たえた上で部屋の出入口ドアを施錠したところ、同女が目を覚ました。乙は、母親が入院している病院ではなくホテルの一室に自分が連れ込まれていることに気付き、室外に逃げ出すため出入口ドアに近づこうとした。甲は、わいせつな行為を乙が熟睡している間にすることで犯行の発覚を免れようと計画していたことから、同女が目を覚ました以上わいせつな行為は断念せざるを得ないが、捕まらずに逃げるために、当分の間同女を室内にとどめて人と接触させないようにしなければならないと考えた。そこで、甲は、出入口ドアの前に立ちふさがり、乙が出入口ドアに近づくのを妨げるとともに、同女に対し「部屋の中で大人しくしている。外には見張りがいるので逃げようとしても無駄だ。勝手に部屋から出ようとしたら痛い目に遭わせてやる。」と述べて同女を脅した上で、同女を残して1人で部屋を出て、自動車を運転してホテルAから立ち去った。
公式解答
2
正誤・解説
1 /
未成年者誘拐罪(刑法第224条)、わいせつ目的誘拐罪(刑法第225条)、監禁罪(刑法第220条)及び脅迫罪(刑法第222条第1項)が成立する。
乙を最初に車に乗せた点は、未成年者を略取した上でわいせつ目的があるため、未成年者誘拐罪とわいせつ目的誘拐罪のいずれかが問題となるが、説明では未成年者誘拐罪はわいせつ目的誘拐罪に吸収されるとされている。また、脅迫は監禁の手段として評価されるため独立罪とはしない。
根拠条文:刑法225条・e-Govで法令を開く刑法220条・e-Govで法令を開く刑法222条第1項・e-Govで法令を開く刑法224条・e-Govで法令を開く
刑法225条―現行条文本文
第二百二十五条 (営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法220条―現行条文本文
第二百二十条 (逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
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刑法222条第1項―現行条文本文
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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刑法224条―現行条文本文
第二百二十四条 (未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
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2 /
わいせつ目的誘拐罪、監禁罪及び不同意わいせつ未遂罪(刑法第180条、第176条第1項第3号)が成立する。
正解肢。乙をだまして車に乗せホテルへ連れ込んだ点はわいせつ目的誘拐罪、室内に閉じ込めた点は監禁罪、そしてわいせつ行為は乙が起きたため未遂にとどまる。睡眠薬は同意を欠く状態を作る手段として、不同意わいせつ未遂の成立が認められる。
根拠条文:刑法225条・e-Govで法令を開く刑法180条・e-Govで法令を開く刑法176条第1項第3号・e-Govで法令を開く刑法220条・e-Govで法令を開く
刑法225条―現行条文本文
第二百二十五条 (営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法180条―現行条文本文
第百八十条 (未遂罪)
第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。
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刑法176条第1項第3号―現行条文本文
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
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刑法220条―現行条文本文
第二百二十条 (逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
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3 /
未成年者誘拐罪、監禁罪及び不同意わいせつ未遂罪が成立する。
乙は14歳で未成年者だが、事例全体としてはわいせつ目的での誘拐として評価されるため、未成年者誘拐罪ではなくわいせつ目的誘拐罪が問題となる。監禁罪と不同意わいせつ未遂罪の点はあるが、肢全体として誤り。
根拠条文:刑法180条・e-Govで法令を開く刑法176条第1項第3号・e-Govで法令を開く
刑法180条―現行条文本文
第百八十条 (未遂罪)
第百七十六条、第百七十七条及び前条の罪の未遂は、罰する。
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刑法176条第1項第3号―現行条文本文
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
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4 /
わいせつ目的誘拐罪、脅迫罪及び不同意わいせつ未遂罪が成立する。
脅迫は、乙を室内にとどめて逃走を防ぐ監禁行為の手段として位置づけられており、独立した脅迫罪とはされない。したがって、この肢は誤り。
根拠条文:刑法225条・e-Govで法令を開く刑法222条第1項・e-Govで法令を開く
刑法225条―現行条文本文
第二百二十五条 (営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法222条第1項―現行条文本文
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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5 /
未成年者誘拐罪及び監禁罪が成立する。
わいせつ目的で誘拐しているため、未成年者誘拐罪のみでは足りず、不同意わいせつ未遂罪も問題となる。監禁罪だけを挙げるのも不十分で、肢全体として誤り。
根拠条文:刑法225条・e-Govで法令を開く刑法220条・e-Govで法令を開く
刑法225条―現行条文本文
第二百二十五条 (営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法220条―現行条文本文
第二百二十条 (逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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全体要旨
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