刑法 第219問
教材: 刑法②
司法試験 H19 第10問
論点: 自首
問題
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【事例】
甲は、空腹を感じたが所持金がなかったことから、飲食店Aにおいて無銭飲食をした。そして、同店主乙から飲食代金の支払を請求されるや、乙に対し、「金はない。」と言いながら所携のナイフを乙に突き付けて脅迫し、その場から逃走した。
しかし、この先も生活費が手に入る見込みがなかった甲は、いっそのこと刑務所で服役して飢えをしのごうと考え直し、付近の警察署に出頭するため、上記ナイフを手に持ったまま同署の前まで歩いていった。捜査機関は、この時点までに上記無銭飲食の事実を認識していたが、同僚の警察官Xは、ナイフを手にした甲の姿を見て不審者と認め、甲に対する職務質問を開始した。甲は、その職務質問に対し、警察官Xに無銭飲食の事実を告げ、ナイフも提出した。
ア 自首が成立するためには、犯人が反省悔悟に出たものであることを要するから、甲のようないわゆる刑務所志願を目的とする場合には、自首は成立しない。
イ 自首は自ら進んで自発的に行う必要があるから、甲のように警察官から職務質問を受け、その質問に答えて犯罪事実を申告した場合には、およそ自首は成立しない。
ウ 仮に、この通報により捜査機関に犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合には、犯人が甲であることが発覚していなくても、自首は成立しない。
エ 仮に、捜査機関に犯罪事実及び甲が犯人であることが発覚しており、甲の所在だけが不明であった場合には、自首は成立しない。
オ 甲が、ナイフを突き付けたのは無銭飲食をした後逃走するためであり、そのような行為が強盗という罪に当たるとは思わなかったと申告している場合には、自首は成立しない。
公式解答
22212
正誤・解説
p1 /
自首が成立するためには、犯人が反省悔悟に出たものであることを要するから、甲のようないわゆる刑務所志願を目的とする場合には、自首は成立しない。
判例は、自首に反省悔悟までは要しないとする。刑務所志願のように出頭動機が自己都合であっても、法が要求する要件を満たせば自首は成立し得る。
根拠条文:刑法42条第1項・e-Govで法令を開く
刑法42条第1項―現行条文本文
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p2 /
自首は自ら進んで自発的に行う必要があるから、甲のように警察官から職務質問を受け、その質問に答えて犯罪事実を申告した場合には、およそ自首は成立しない。
職務質問を受けてからでも、未だ捜査機関に犯罪事実が発覚していない段階であれば、自首は成立し得る。自発的出頭に限られない。
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刑法42条第1項―現行条文本文
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p3 /
仮に、この通報により捜査機関に犯罪事実が発覚し、犯人のおよその年齢・人相・服装・体格が判明していた場合には、犯人が甲であることが発覚していなくても、自首は成立しない。
犯罪事実が発覚していても、犯人が誰かまで判明していなければ自首は成立し得る。犯人の特徴の把握だけでは足りない。
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p4 /
仮に、捜査機関に犯罪事実及び甲が犯人であることが発覚しており、甲の所在だけが不明であった場合には、自首は成立しない。
自首の前提は、犯罪事実と犯人の何人たるかが捜査機関に未だ発覚していないこと。甲が犯人と判明し、所在のみ不明という段階では、原則として自首は成立しない。
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p5 /
甲が、ナイフを突き付けたのは無銭飲食をした後逃走するためであり、そのような行為が強盗という罪に当たるとは思わなかったと申告している場合には、自首は成立しない。
自首は、犯罪事実を申告して処分を求める行為で足り、法的評価まで正確に理解している必要はない。自分の行為が強盗に当たると思わなかったとしても直ちに否定されない。
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全体要旨
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