刑法 第192問
教材: 刑法②
司法試験 H23 第6問
論点: 罪数
問題
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罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。
公式解答
5
正誤・解説
1 /
甲は、夜間、車道上にロープを張って、車道を閉塞したところ、自動二輪車を運転して同所を通り掛かった乙がこれに気付かないまま同ロープに引っ掛かり、転倒して負傷した。この場合、甲に乙が負傷することについて故意があれば、甲には往来妨害罪と傷害罪が成立し、両罪は牽連犯となる。
判例は、往来妨害と傷害の間に通常手段・結果の関係がないとして、牽連犯ではなく観念的競合とする。
根拠条文:刑法45条・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く刑法124条第1項・e-Govで法令を開く刑法204条・e-Govで法令を開く
刑法45条―現行条文本文
第四十五条 (併合罪)
確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。
ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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刑法124条第1項―現行条文本文
陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
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刑法204条―現行条文本文
第二百四条 (傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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2 /
甲は、乙を殺害する目的で乙方に侵入し、屋内にいた乙を殺害した上、たまたま屋内に居合わせた丙及び丁も殺害した。この場合、甲には、住居侵入罪並びに乙、丙及び丁に対する殺人罪が成立し、住居侵入罪と乙に対する殺人罪が牽連犯として一罪となり、丙及び丁に対する殺人罪と併合罪になる。
住居侵入は乙殺害の手段だが、丙丁殺害との関係はないため、判例は住居侵入罪と各殺人罪をそれぞれ牽連犯の関係にあるとして扱う。
根拠条文:刑法130条・e-Govで法令を開く刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法130条―現行条文本文
第百三十条 (住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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3 /
甲は、眼鏡を掛けた乙の顔面を、眼鏡の上から拳で殴打し、眼鏡を損壊するとともに、乙に全治1週間を要する顔面打撲の傷害を負わせた。この場合、甲には傷害罪と器物損壊罪が成立し、両罪は併合罪となる。
判例は、顔面への殴打という一個の行為が傷害と器物損壊の両結果を生じたとして、重い傷害罪で包括的に評価し、器物損壊罪との観念的競合を認める。
根拠条文:刑法204条・e-Govで法令を開く刑法261条・e-Govで法令を開く
刑法204条―現行条文本文
第二百四条 (傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法261条―現行条文本文
第二百六十一条 (器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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4 /
甲は、真実は、自己の経営する会社の運転資金に使う目的で、質権を設定するつもりはないのに、乙に対して、「2000万円をA銀行の甲名義預金口座に振り込んでほしい。振り込まれた2000万円については、見せ金として使用するので、口座から引き出さないし、振込後、質権も設定する。」などと嘘を言い、これを信じた乙は、A銀行の甲名義預金口座に2000万円を振り込んだ。その数日後、甲は、同預金に関するA銀行名義の質権設定承諾書1通を偽造し、乙に交付した。この場合、甲には詐欺罪、有印私文書偽造及び同行使罪が成立し、これらは牽連犯として一罪となる。
判例は、融資金の入金と質権設定承諾書の偽造・交付は一体的で、時間的先後があっても実質的に同一の不正融資事件として包括的に評価し、併合罪ではなく一罪として処理する。
根拠条文:刑法246条第1項・e-Govで法令を開く刑法159条第1項・e-Govで法令を開く刑法161条第1項・e-Govで法令を開く
刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法159条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
二 他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造する行為
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刑法161条第1項―現行条文本文
前二条の文書等又は電磁的記録文書等を行使した者は、その文書等若しくは電磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載若しくは記録をした者と同一の刑に処する。
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5 /
甲は、乙を監禁した上で現金を恐喝しようと企て、乙をマンションの一室に監禁し、暴行・脅迫を加えて現金を脅し取った。この場合、甲には監禁罪と恐喝罪が成立し、両罪は併合罪となる。
判例は、監禁が恐喝の手段として行われた場合でも、両罪は通常の手段・結果の関係にあるものとはいえず、牽連犯ではなく併合罪とする。
根拠条文:刑法220条・e-Govで法令を開く刑法249条第1項・e-Govで法令を開く
刑法220条―現行条文本文
第二百二十条 (逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
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刑法249条第1項―現行条文本文
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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全体要旨
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