刑法 第176問
教材: 刑法②
司法試験 H29 第15問
論点: 教唆犯と錯誤
問題
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公式解答
3
正誤・解説
1 /
甲が乙に対し、深夜の公園で待ち伏せしてAから金品を喝取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、深夜の公園でAを待ち伏せたが、偶然通り掛かったBをAと誤認してBから金品を喝取し、乙は人違いに気付いたが、そのままAを待ち伏せして、通り掛かったAから金品を喝取しようとしてAを脅迫したが、Aに逃げられてしまい金品を喝取することができなかった。甲にはAに対する恐喝未遂罪の教唆犯のみが成立する。
判例上、教唆者が指定した事実と異なる対象や態様であっても、被教唆者が一定の犯罪行為を実現した以上、教唆既遂を妨げない。Bに対する恐喝既遂とAに対する恐喝未遂が問題となる。
根拠条文:刑法61条第1項・e-Govで法令を開く刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法249条第1項・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法61条第1項―現行条文本文
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
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刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
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刑法249条第1項―現行条文本文
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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2 /
甲が乙に対し、Aをナイフで脅してAから金品を強取するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、Aをナイフで脅したが、その最中に殺意を抱き、Aの腹部をナイフで刺してAに傷害を負わせ、Aから金品を強取したものの、Aを殺害するには至らなかった。甲には強盗罪の教唆犯が成立するにとどまる。
強盗の機会に被害者を傷害致死させた場合でも、死の結果が認識・容認できるかで傷害致死罪が問題となる。教唆者についても、その範囲で結果を含めた責任が検討されるため、強盗教唆にとどまらない。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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3 /
甲が乙に対し、留守宅であるA方に侵入して金品を窃取するように教唆したところ、乙は、その旨決意したが、B方をA方と誤認してB方に侵入し、その場にいたBから金品を強取した。甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。
判例は、犯人の認識した事実と現実に生じた事実が完全一致しなくても、犯罪類型の範囲で一致すれば足りるとする。A方侵入の教唆でも、B方への住居侵入・Bに対する窃盗の教唆が成立する。
根拠条文:刑法130条・e-Govで法令を開く刑法235条・e-Govで法令を開く
刑法130条―現行条文本文
第百三十条 (住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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4 /
甲が乙に対し、現住建造物であるA家屋に放火するように教唆したところ、乙は、その旨決意し、A家屋に延焼させる目的で、A家屋に隣接した現住建造物であるB家屋に放火したが、B家屋のみを焼損し、A家屋には燃え移らなかった。甲にはA家屋に対する現住建造物等放火未遂罪のみが成立する。
教唆は、被教唆者が指定と異なる方法・場所であっても、予定された犯罪類型の実現を基礎に成立しうる。B家屋への放火は現住建造物等放火既遂となり、A家屋については未遂も問題となる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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5 /
甲は、土建業者AがB市発注予定の土木工事を請け負うためB市役所土木係員乙に現金を供与しようと考えていることを知り、乙に対し、Aに工事予定価格を教える見返りとしてAから現金を受け取り、Aに工事予定価格を教えるように教唆したところ、乙は、その旨決意し、Aとの間で、Aに工事予定価格を教える旨約束して、Aから現金100万円を受け取ったが、その後、工事予定価格を教えなかった。甲には加重収賄罪の教唆犯が成立する。
受託収賄は、職務に関する請託を受けて賄賂を収受・要求・約束した段階で成立する。金銭受領後に実際に教えなかったとしても、加重収賄ではなく受託収賄の成立が問題となる。
根拠条文:刑法197条第1項・e-Govで法令を開く刑法197条の3第1項・e-Govで法令を開く
刑法197条第1項―現行条文本文
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
この場合において、請託を受けたときは、七年以下の拘禁刑に処する。
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刑法197条の3第1項―現行条文本文
公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期拘禁刑に処する。
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