刑法 第156問
教材: 刑法②
予備試験 H26 第13問
論点: 共同正犯の成否
問題
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【事例】
Xが甲に暴行を加えていたところにXの知人Yが通り掛かり、XとYが意思を通じ合った上で、その場で更に両名で甲に暴行を加えた。これらの暴行によって甲は傷害を負ったが、X及びYのどの暴行で傷害を負ったのかは不明であった。
【見解】
本件では、Y加害前のXの暴行で甲に傷害が生じていた場合、YのXとの共謀やそれに基づく行為と甲の傷害との間に因果関係がない以上、X及びYに傷害罪の承継的共同正犯は成立しない。一方、一般に、傷害の結果が、全く意思の連絡がない2名以上の者の同一機会における暴行によって生じたことは明らかであるが、いずれの暴行によって生じたものであるかは確定することができない場合には、同時犯の特例として刑法第207条により傷害罪の共同正犯として処断される。また、共謀成立前後にわたる一連の暴行により傷害の結果が発生したことが明らかであるが、共謀成立前後のいずれの暴行により生じたものであるか確定することができない場合にも、一連の暴行が同一機会に行われたものである限り、刑法第207条が適用され、全体が傷害罪の共同正犯として処断されると解するのが相当である。X及びYは、傷害の結果につき同時傷害が成立し、全体につき傷害罪の共同正犯として処断すべきである。ただし、このような場合でも、単独犯の暴行によって傷害が生じたのか、共同正犯の暴行によって傷害が生じたのか不明であるという点で、やはりその傷害を生じさせた者を知ることができないときに当たることに変わりはないと解されるからである。
公式解答
3 / 5
正誤・解説
1 /
【見解】の考え方によれば、本件でY加害前のXの暴行以前にXY間の共謀が成立していた場合にも、刑法第207条の適用がなければ、X及びYを傷害罪の共同正犯として処罰することはできない。
共謀が先行していれば、Xの暴行はYとの共同実行として評価し得るため、207条がなくても共同正犯処理の余地がある。したがって「できない」とする記述は誤り。
根拠条文:刑法207条・e-Govで法令を開く
刑法207条―現行条文本文
第二百七条 (同時傷害の特例)
二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
【見解】の考え方によれば、仮に本件で刑法第207条が適用されない場合には、X及びYのいずれも暴行罪の共同正犯として処罰することになる。
説明では、207条が適用されない場合、Yは暴行罪の共同正犯、Xは暴行罪の単独正犯として処理する整理が示されている。両者とも共同正犯ではない。
根拠条文:刑法207条・e-Govで法令を開く
刑法207条―現行条文本文
第二百七条 (同時傷害の特例)
二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。
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3 /
【見解】に対しては、「刑法第207条は、被害者が傷害を負っているにもかかわらず、誰にも傷害罪の責任を問えないことの不合理性を回避するための例外的な規定と考えるべきである。」との批判が可能である。
解説では、207条は誰にも責任を問えない不合理を回避するための例外規定と理解すべきとしており、その理解からは見解への批判が可能である。
根拠条文:刑法207条・e-Govで法令を開く
刑法207条―現行条文本文
第二百七条 (同時傷害の特例)
二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。
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4 /
【見解】に対しては、「仮に本件でXY間に意思の疎通が一切なかった場合には刑法第207条が適用されてX及びYを傷害罪で処罰することとの均衡を失する。」との批判が可能である。
解説は、207条不適用の見解に対する批判として、この記述の趣旨を否定している。したがって本肢は正しくない。
根拠条文:刑法207条・e-Govで法令を開く
刑法207条―現行条文本文
第二百七条 (同時傷害の特例)
二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。
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5 /
【見解】の考え方によれば、仮に本件の甲の傷害がY加害前のXの暴行か、Y加害後のXの暴行によって生じたことが明らかであるが、そのいずれであるかが不明という場合には、X及びYを刑法第207条の適用により傷害罪の共同正犯として処罰することができる。
共謀成立の前後をまたぐ一連の暴行で傷害結果が生じ、どちらの暴行か特定できない場合は、207条を適用して全体を共同正犯として処理する、という説明に合致する。
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刑法207条―現行条文本文
第二百七条 (同時傷害の特例)
二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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全体要旨
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