刑法 第151問
教材: 刑法②
司法試験 H21 第14問
論点: 共犯の従属性
問題
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【見解】
共同正犯の成立については、違法性阻却事由又は責任阻却事由が一部の共同者に認められても、それは他の共同者には影響しない。
教唆犯・幇助犯の成立については、正犯の行為に構成要件該当性及び違法性が認められることが必要であり、正犯に責任阻却事由が認められても、それは教唆者・幇助者には影響しない。
【記述】
ア.甲と乙とは、共同して丙に傷害を負わせる意思をもって丙を殴って同人に傷害を負わせた。その際、甲は、正当防衛の要件を充足する状況になかったが、乙は、その要件を充足する状況にあった。
イ.甲は、乙に対し丙に傷害を負わせようと教唆し、それにより、乙は、丙を殴って同人に傷害を負わせた。乙は、教唆された時には責任能力を欠く状況になかったが、丙を殴った時には責任能力を欠く状況にあった。
ウ.甲は、乙が丙に傷害を負わせようとしているのを知って乙に角材を渡して幇助した。その後、乙は、前記角材で丙を殴って同人に傷害を負わせたが、その際、乙は、正当防衛の要件を充足する状況にあった。
エ.甲と乙とは、共同して丙に傷害を負わせる意思をもって丙を殴って同人に傷害を負わせた。その際、甲は、責任能力を欠く状況になかったが、乙は、責任能力を欠く状況にあった。
公式解答
5. ウ
正誤・解説
ア /
甲と乙とは、共同して丙に傷害を負わせる意思をもって丙を殴って同人に傷害を負わせた。その際、甲は、正当防衛の要件を充足する状況になかったが、乙は、その要件を充足する状況にあった。
共同正犯では、ある共同者に違法性阻却事由や責任阻却事由があっても、他の共同者には原則として影響しない。したがって、乙に正当防衛があれば乙には犯罪不成立となりうるが、甲には共同正犯として傷害罪が成立する。
イ /
甲は、乙に対し丙に傷害を負わせようと教唆し、それにより、乙は、丙を殴って同人に傷害を負わせた。乙は、教唆された時には責任能力を欠く状況になかったが、丙を殴った時には責任能力を欠く状況にあった。
教唆犯・幇助犯は、正犯に構成要件該当性と違法性が必要で、責任阻却事由は教唆者・幇助者に影響しないが、本文のように正犯たる乙が実行時に責任無能力なら、乙には犯罪が成立しない。したがって甲にも教唆犯は成立しない。
ウ /
甲は、乙が丙に傷害を負わせようとしているのを知って乙に角材を渡して幇助した。その後、乙は、前記角材で丙を殴って同人に傷害を負わせたが、その際、乙は、正当防衛の要件を充足する状況にあった。
幇助犯では、正犯の行為に違法性が必要である。乙が正当防衛の状況にあれば、乙の行為は違法性が阻却されるため正犯の犯罪が成立せず、甲にも幇助犯は成立しない。
エ /
甲と乙とは、共同して丙に傷害を負わせる意思をもって丙を殴って同人に傷害を負わせた。その際、甲は、責任能力を欠く状況になかったが、乙は、責任能力を欠く状況にあった。
共同正犯では、一方に責任阻却事由があっても他方に影響しない。乙が責任無能力でも、甲は故意で実行しているので甲には傷害の共同正犯が成立する。
全体要旨
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