刑法 第144問
教材: 刑法②
司法試験 H27 第15問
論点: 結果的加重犯の共同正犯
問題
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【事例】
甲と乙とは、丙に対する傷害を共謀し、共同して木刀で丙の手足を殴打していた際、甲は丙に対する殺意を抱き、木刀で丙の頭部を殴打し、丙はその殴打により脳挫傷で死亡した。なお、乙は、甲が殺意を抱いたことを知らなかった。
【見解】
A説:共同正犯とは、数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり、特定の犯罪を共同して実現する場合はもちろんのこと、単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合も、それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。
B説:共同正犯とは、数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり、構成要件の間に重なり合いがあれば、そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め、軽い犯罪の故意しかない者には、軽い犯罪の刑を科す。
C説:共同正犯とは、数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり、構成要件の重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認める。
公式解答
1 / 5
正誤・解説
1 /
A説からは、甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
A説は、各自の行為ごとに共同正犯を認める見解であり、本件のように甲乙が傷害を共謀しているだけでは、甲乙に殺人罪の共同正犯までは導かれない。
2 /
B説からは、甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立し、乙には傷害致死罪の刑を科すとの結論が導かれる。
B説は、構成要件の重なりに着目し、より重い犯罪について共同正犯を認め、軽い故意しかない者には軽い犯罪の刑を科す立場である。本件ではそのように整理される。
3 /
B説に対しては、犯罪の成立と科刑が分離するのは妥当でないと批判できる。
解説上、B説は「殺人罪の共同正犯」と「傷害致死罪の刑」を分けるので、成立と科刑を分離する点が批判対象になる。
4 /
C説からは、甲と乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し、甲には殺人罪の単独犯が成立するとの結論が導かれる。
C説は、重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯を認める見解であるため、本件では甲乙に傷害致死罪の共同正犯、甲に殺人罪の単独犯という整理になる。
5 /
C説に対しては、A説やB説から、共同正犯の成立範囲が広すぎると批判できる。
C説はA説・B説より共同正犯の成立範囲が狭い見解なので、広すぎるとの批判は当たらない。
全体要旨
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