刑法 第131問
教材: 刑法①
司法試験 H22 第8問(改)
論点: 既遂時期
問題
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甲の罪責について、判例の立場に従って、( )内の犯罪が既遂になる場合には1を、未遂にとどまる場合には2を、既遂にも未遂にもならない場合には3を選ぶ。
公式解答
23212
正誤・解説
p1 /
甲は、行使の目的をもって一万円札を偽造しようとしたが、印刷機器の操作を間違えたため、出来上がったものは、一般人から見て真正の通貨と誤認するに至らない程度のものであった。(通貨偽造罪)
通貨偽造罪は、一般人が真正な通貨と誤認し得る程度にまで作出して「偽造」に当たる必要がある。設問ではその程度に達していないので、既遂にも未遂にもならない。
根拠条文:刑法148条・e-Govで法令を開く刑法151条・e-Govで法令を開く
刑法148条―現行条文本文
第百四十八条 (通貨偽造及び行使等)
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
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刑法151条―現行条文本文
第百五十一条 (未遂罪)
前三条の罪の未遂は、罰する。
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p2 /
甲は、乙方応接間で乙と雑談中、乙が部屋を出たすきに隣室にある金目の物を探して窃取しようと思い立ち、乙に対し、「お茶が飲しし、てくてんを部屋に行かせたが、この娘が応接間に入ってきたため、隣室に行くことができなかった。(窃盗罪)
窃盗罪は、財物の占有を自己に移す方向で実行の着手があったかで判断する。設問では、隣室に入って窃取する段階に至っておらず、実行の着手が認められないので既遂にも未遂にもならない。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く刑法250条・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法250条―現行条文本文
第二百五十条 (未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
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p3 /
甲は、通行中の乙に自動車内で暴行を加えて性交する目的で、激しく抵抗する乙を自動車内に引きずり込み、数キロメートル離れた河原まで自動車を走行させたが、乙がすきを見て逃走したため、性交できなかった。(不同意性交等罪)
不同意性交等罪では、判例上、強姦行為の着手は被害者を車内に連れ込もうとした段階では足りず、危険が明らかに認められる行為に至ったかでみる。設問ではその段階に至っていないため、未遂にもならない。
根拠条文:刑法177条第1項・e-Govで法令を開く刑法176条第1項第1号・e-Govで法令を開く
刑法177条第1項―現行条文本文
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法176条第1項第1号―現行条文本文
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
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p4 /
甲は、深夜、強盗の目的で会社事務所に入り込み、一人で勤務していた事務員を縛り上げ、持参したボストンバッグに同事務所に設置された金庫内の現金を詰め込んで手に持ち、同事務所の出入口から外に出ようとしたところ、駆けつけた警察官に同事務所内で逮捕された。(強盗罪)
金庫内の現金をボストンバッグに詰め、持って退出しようとした時点で、他人の財物を強取したといえる。したがって強盗罪は既遂である。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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p5 /
甲は、乙から現金を喝取する目的で、現金の交付を要求する脅迫状を乙宅に郵送したが、乙が不在中に同脅迫状を受け取って読んだこの妻が直ちに警察に届け出たため、甲は現金を取得できなかった。(恐喝罪)
恐喝罪は、相手方が財物交付義務の認識可能な状態に置かれ、財物移転の危険が生じた時点で未遂ではなく既遂と評価される。設問ではその前提としてもなお既遂・未遂のいずれにも至らない。
根拠条文:刑法249条第1項・e-Govで法令を開く刑法250条・e-Govで法令を開く
刑法249条第1項―現行条文本文
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法250条―現行条文本文
第二百五十条 (未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
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全体要旨
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