刑法 第130問
教材: 刑法①
司法試験 R02 第11問(改)
論点: 実行の着手
問題
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公式解答
1 / 2 / 1 / 2 / 2
正誤・解説
p1 /
甲及び乙は、深夜、路上を一人で歩いていたV女を見付け、約6キロメートル先のひとけのない工事現場にV女を連れ込んで暴行を用いてV女と性交しようと決意し、二人でV女の背後からその身体を抱きかかえながら、付近に停めていた自動車にV女を押し込んで乗せ、同車を発進させたが、性交には至らなかった。甲及び乙には、不同意性交等未遂罪の共同正犯が成立する。
暴行・脅迫で性交しようとして移動させる過程で、既に客観的危険が明らかな段階に達していれば実行の着手が認められる。共同で実行しているので共同正犯も成立する。
根拠条文:刑法177条第1項・e-Govで法令を開く刑法176条第1項第1号・e-Govで法令を開く
刑法177条第1項―現行条文本文
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法176条第1項第1号―現行条文本文
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
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p2 /
甲は、暴行を用いてV女と性交しようと決意し、深夜、路上において、V女を押さえ付けて反抗を抑圧したが、付近から人の声が聞こえたため性交を諦めてV女のハンドバッグから財布を奪い取ろうと考え、「騒ぐな。殺すぞ。」と申し向けてV女の畏怖心を強めた上、財布を奪い取った。甲には、強盗・不同意性交等未遂罪が成立する。
性交目的の暴行があっても、途中で財物取得に切り替えた以上、不同意性交等未遂の実行行為を基礎づけるとはいえない。強盗は成立し得るが、設問の組合せは誤り。
根拠条文:刑法241条第1項・e-Govで法令を開く刑法177条第2項・e-Govで法令を開く
刑法241条第1項―現行条文本文
強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が第百七十七条の罪若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は同条の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、無期又は七年以上の拘禁刑に処する。
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刑法177条第2項―現行条文本文
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
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p3 /
甲は、Vが居住する木造家屋に火をつけて焼損しようと考え、同家屋台所において、プロパンガスを多量かつ長時間にわたって放出するとともに、ガソリン約18リットルを撒布したが、点火行為には至らなかった。甲には、現住建造物等放火未遂罪が成立する。
放火に向けて可燃性物を広く撒布し、火が出れば直ちに焼損に至る危険がある段階なら実行の着手が認められる。点火前でも現住建造物等放火未遂が成立する。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法112条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法112条―現行条文本文
第百十二条 (未遂罪)
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。
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p4 /
甲は、Vを殺害する意思で、毒入りの菓子を箱詰めし、それをV宅に宛てて宅配便で発送した。しかし、仕事に嫌気が差した配達員により、その菓子は配達途中に川に捨てられた。甲には、殺人未遂罪が成立する。
毒物が被害者の飲食可能状態に置かれていないので、殺害の実行の着手までは認められない。配達途中で廃棄されており、殺人未遂は成立しない。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p5 /
甲は、V宅に侵入し、金品を強奪しようと決意し、Vを脅すためのナイフを入手した上、それを携行してV宅に向かう途中、しかし、V宅に至る手前で、罪悪感を覚え、計画を中止することに決め、自宅に引き返した。甲には、強盗予備罪の中止犯が成立する。
予備段階には中止未遂の観念を容れる余地がないとされるため、強盗予備の中止犯は認められない。
根拠条文:刑法237条・e-Govで法令を開く刑法43条ただし書・e-Govで法令を開く
刑法237条―現行条文本文
第二百三十七条 (強盗予備)
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の拘禁刑に処する。
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刑法43条ただし書―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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全体要旨
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