刑法 第128問
教材: 刑法①
司法試験 H23 第10問
論点: 実行の着手
問題
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公式解答
21122
正誤・解説
p1 /
甲は、乙を毒殺する目的で毒入り菓子をお歳暮として郵送するため、郵便局の窓口でその菓子を包んだ小包の郵送を申し込んだが、誤って実際には存在しない住所を宛先として記載したために同小包はどこにも配達されずに甲宅に送り返された。この場合、甲には殺人未遂罪が成立する。
毒を飲食させる結果に至っておらず、薬物を客体とする殺人の「実行の着手」は認められないとする判例の立場。したがって、殺人未遂は成立しない。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く刑法199条・e-Govで法令を開く刑法203条・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法203条―現行条文本文
第二百三条 (未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
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p2 /
甲は、自己が居住する建物に付した火災保険の保険金を保険会社からだまし取る目的で同建物に放火したが、保険金を請求するに至らなかった。この場合、甲には詐欺未遂罪は成立しない。
放火行為は保険金詐取のための準備段階にとどまり、詐欺の「着手」には当たらないとする判例の立場。よって詐欺未遂は成立しない。
根拠条文:刑法246条第1項・e-Govで法令を開く刑法250条・e-Govで法令を開く
刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法250条―現行条文本文
第二百五十条 (未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
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p3 /
甲は、この住居内に侵入し、タンスの引き出しを開けるなどして金目の物を探したが、見付けることができないうちに発見された。甲は、逮捕を免れるため、これに対して包丁を示して脅迫し、屋外に逃走したが、通報により駆けつけた警察官に現場付近で逮捕された。この場合、甲には事後強盗未遂罪が成立する。
窃盗の既遂・未遂を前提に、窃盗後の暴行脅迫が「盗品等の奪回防止等」の目的で行われれば事後強盗となり、その未遂も認められるという判例の考え方。
根拠条文:刑法238条・e-Govで法令を開く刑法243条・e-Govで法令を開く
刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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刑法243条―現行条文本文
第二百四十三条 (未遂罪)
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
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p4 /
甲は、勾留状の執行により拘禁されている未決の被告人であったところ、逃走の目的で拘禁場の換気孔の周辺の壁部分を削り取って損壊したが、まだ脱出可能な穴を開けるに至らず、逃走行為自体に及ばないうちに検挙された。この場合、甲には加重逃走未遂罪は成立しない。
逃走の手段として拘禁場施設を損壊し始めた時点で、加重逃走罪の実行の着手を認める判例の立場。脱出行為に至らなくても未遂が成立しうる。
根拠条文:刑法98条・e-Govで法令を開く刑法102条・e-Govで法令を開く
刑法98条―現行条文本文
第九十八条 (加重逃走)
前条に規定する者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
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刑法102条―現行条文本文
第百二条 (未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
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p5 /
甲は、他人が居住する建物に放火することを企て、30分後に発火して導火材を経て同建物に火が燃え移るように設定した時限発火装置を同建物に設置したが、設定した時刻が到来する前に発覚して同装置の発火に至らなかった。この場合、甲には現住建造物等放火未遂罪は成立しない。
時限発火装置を設置して放火の準備を完了し、発火に向けた具体的行為が開始されれば、現住建造物等放火の実行の着手が認められるという判例の立場。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法112条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法112条―現行条文本文
第百十二条 (未遂罪)
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。
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全体要旨
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