刑法 第127問
教材: 刑法①
司法試験 H20 第11問
論点: 実行の着手と既遂時期
問題
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各事例について、判例の立場に従い、( )内の犯罪が既遂か未遂か不成立かを判定する。
公式解答
11123
正誤・解説
p1 /
甲は、所持金を全く有しておらず、タクシー料金を支払うつもりはないのに、乙運転のタクシーに乗車し、乙は、目的地に向けてしばらく走行するうちに、甲の不審な挙動から無賃乗車ではないかと疑い、甲を降車させたため、甲は目的地に到着できなかった。(詐欺罪)
タクシーに乗車した時点で、料金支払意思なく乗車して運賃相当のサービス提供を受ける関係が成立し、詐欺罪は既遂とされる。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く刑法246条第2項・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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刑法246条第2項―現行条文本文
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
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p2 /
甲は、所持金を全く有していなかったが、窃取した他人名義のクレジットカードを持っていたので、代金を支払わずに同カードを使用して飲食店で食事をしようと考え、この経営する食堂に入り、飲食物を注文しこれを飲食した後、代金を請求した乙に対し、同カードを手渡したが、既に同カードの名義人から紛失届が出ていたため、同カードを使うことができなかった。(詐欺罪)
他人名義カードを正当な利用権限があるように装って示し、飲食の提供を受けた時点で財産上の利益を得たとして詐欺罪既遂となる。
根拠条文:刑法246条第1項・e-Govで法令を開く
刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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p3 /
甲は、深夜、コンビニエンスストアでおにぎりを万引きして店外に出たところ、これに気付いた店員に呼び止められたので、逮捕を免れるため、路上に落ちていた角材で乙を殴るなど同人の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えたが、たまたま通り掛かった通行人に取り押さえられ、逮捕を免れることができなかった。(事後強盗罪)
窃盗の機会に、逮捕を免れるため反抗抑圧的暴行を加えれば事後強盗は既遂で、実際に逮捕を免れたかは要しない。
根拠条文:刑法238条・e-Govで法令を開く刑法243条・e-Govで法令を開く
刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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刑法243条―現行条文本文
第二百四十三条 (未遂罪)
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
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p4 /
甲は、乙が万引きするのを目撃したことを奇貨として、乙から現金を脅し取ろうと考えて、乙にあてて、「万引きをしたのを警察に知られたくなかったら、30万円持ってこい。」などと記載した文章を郵送したところ、乙は同文書を受け取ったが、封を開ける前に誤って捨ててしまったため、甲は現金を手に入れることができなかった。(恐喝罪)
恐喝文書が被害者に到達し、受信者が内容を認識し得る状態になれば実行に着手したとされ、金員取得に至らなくても恐喝未遂となる。
根拠条文:刑法249条第1項・e-Govで法令を開く刑法250条・e-Govで法令を開く
刑法249条第1項―現行条文本文
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法250条―現行条文本文
第二百五十条 (未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。
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p5 /
甲は、乙を自宅に招いて毒入りの菓子を食べさせて毒殺しようと考え、菓子に致死量の毒薬を混入し、乙に自宅に招待する旨の電話をしたが、乙が多忙を理由にこれを断ったため、乙を殺害することができなかった。(殺人罪)
毒物混入後でも、被害者がそれを摂取し得る状態に置かれていない以上、殺人の実行に着手したとはいえず、殺人既遂でも未遂でもない。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く刑法203条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法203条―現行条文本文
第二百三条 (未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
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全体要旨
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