刑法 第93問
教材: 刑法①
司法試験 H24 第16問
論点: 正当防衛の共謀の射程
問題
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【事例】
甲は、友人乙及び丙女と深夜歩道上で雑談していたところ、通り掛かったVから因縁を付けられ、Vが丙女の髪をつかんで引きずるなどの暴行を加えたため、乙と共に、丙女への暴行をやめさせるためにVの顔面を殴るなどした(以下、甲と乙が共にVの顔面を殴るなどした行為を「第1行為」という。)。Vは、一旦丙女への暴行をやめたものの、その後も甲らに悪態をついたため、更に乙においてVの顔面を殴ったところ(以下、乙がVの顔面を殴った行為を「第2行為」という。)、Vが転倒して重傷を負った。第2行為の際、甲はVに対し暴行を加えることも、乙の行為を制止することもなかった。
【判旨】
相手方の侵害に対し、複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、相手からの侵害が終了した後も、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、侵害現在時における暴行が正当防衛と認められる場合には、侵害終了後の暴行については、侵害現在時における防衛行為としての暴行の共同意思から離脱したかではなく、新たに共謀が成立したかどうかを検討すべきであり、共謀の成立が認められるときに初めて侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為の相当性を検討すべきであるところ、甲に関しては、第1行為については正当防衛が成立し、第2行為については乙との間に新たに共謀が成立したとは認められないので、第1行為と第2行為とを一連一体のものとして総合評価する余地はない。
公式解答
1222
正誤・解説
ア /
この判旨は、甲らによる第1行為が正当防衛に当たることから、第1行為と第2行為とを一体のものとして考慮するためには、第2行為についての新たな共謀が必要だと考えている。
判旨は、第1行為が正当防衛に当たる以上、侵害終了後の第2行為を含めて一連一体として評価するには、新たな共謀の成立が必要としている。
根拠条文:刑法36条第1項・e-Govで法令を開く
刑法36条第1項―現行条文本文
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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イ /
この判旨は、甲による第1行為が正当防衛に当たることから、甲が乙による第2行為を防止する措置を講じなかったにもかかわらず、甲に共謀関係からの離脱を認めたものである。
判旨は、共同意思からの離脱ではなく、新たな共謀の有無を検討すべきとする。甲が第2行為を止めなかったことから離脱を認めたわけではない。
根拠条文:刑法36条第1項・e-Govで法令を開く刑法36条第2項・e-Govで法令を開く刑法60条・e-Govで法令を開く
刑法36条第1項―現行条文本文
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
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刑法36条第2項―現行条文本文
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
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刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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ウ /
共同正犯について「構成要件に該当する違法な行為を共謀することによって成立する」と考える見解に立つと、この事例における甲の罪責について、この判旨と結論において一致することはない。
判旨は、第1行為は正当防衛、第2行為は新たな共謀なしとしている。共謀成立で共同正犯を考える見解でも、少なくとも本件の甲の罪責と必ずしも結論が異なるとはいえない。
根拠条文:刑法60条・e-Govで法令を開く
刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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エ /
この判旨の立場からは、甲に第2行為についての新たな共謀が認められる場合には、甲に過剰防衛が成立する余地はない。
判旨は、侵害終了後の一連の行為でも新たな共謀があれば防衛行為として全体評価しうるとするが、そこから直ちに過剰防衛の余地がないとはいえない。
根拠条文:刑法36条第2項・e-Govで法令を開く
刑法36条第2項―現行条文本文
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
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全体要旨
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