刑法 第66問
教材: 刑法①
司法試験 H29 第11問
論点: 過失犯
問題
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【事例】
土木作業員甲及び乙は、現場監督者丙の監督の下で、X川に架かる鉄橋の橋脚を特殊なA鋼材を用いて補強する工事に従事していたが、作業に手間取り、工期が迫ってきたことから、甲及び乙の2人で相談した上で、より短期間で作業を終えることができる強度の弱いB鋼材を用いる補強工事を共同して行った。その結果、工期内に工事を終えることはできたものの、その後発生した豪雨の際、A鋼材ではなくB鋼材を用いたことによる強度不足のために前記橋脚が崩落し、たまたま前記鉄橋上を走行していたV1運転のトラックがX川に転落し、V1が死亡した。なお、甲及び乙は、同等の立場にあり、甲及び乙のいずれにおいても、B鋼材を工事に用いた場合に強度不足のために前記橋脚が崩落することを予見していなかったものの、その予見可能性があったものとする。
公式解答
2. ア ウ エ
正誤・解説
ア /
甲及び乙には、強度の弱いB鋼材で補強工事を行うことの意思連絡はあるが、不注意の共同はあり得ないから、甲及び乙に業務上過失致死罪の共同正犯が成立する余地はない。
判例は、共同の業務上の注意義務に共同して違反した場合、業務上過失致死罪の共同正犯を認め得るとしている。意思連絡と共同の不注意があれば足り、「不注意の共同はあり得ない」とするのは誤り。
根拠条文:刑法60条・e-Govで法令を開く刑法211条・e-Govで法令を開く
刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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刑法211条―現行条文本文
第二百十一条 (業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
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イ /
丙は、甲及び乙が強度の弱いB鋼材で補強工事を行っていることを認識していたが、工期が迫ってきたことから、これを黙認したという場合、直接行為者である甲及び乙に過失が認められたとしても、更に丙に過失が認められる余地がある。
判例は、直接行為者に過失があっても、監督者側にも別途、注意義務違反が認められ得るとしている。工事を知りながら黙認しただけで直ちに過失が否定されるわけではない。
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刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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第二百十一条 (業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
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ウ /
仮に、甲及び乙において、V1が死亡するに至る実際の因果経過を具体的に予見することが不可能であった場合、甲及び乙には業務上過失致死罪は成立しない。
判例は、具体的な因果経過まで予見できなくても、結果発生の可能性を予見できれば足りるとしている。したがって、実際の経過を具体的に予見できないことだけで直ちに成立を否定するのは誤り。
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第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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第二百十一条 (業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
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エ /
仮に、V1運転のトラックの荷台に、V1に無断でV2が乗り込んでおり、同トラックがX川に転落したことによって、V1及びV2の両名が死亡した場合、甲及び乙にはV2に対する業務上過失致死罪は成立しない。
判例は、被害者側の無断同乗があっても、危険が生じた以上、同乗者に対する結果について過失致死責任を否定しない。よって、V2について成立しないとするのは誤り。
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第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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第二百十一条 (業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
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全体要旨
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