刑法 第63問
教材: 刑法①
司法試験 R04 第14問
論点: 過失
問題
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【見解】
A説:過失の本質は、結果の発生を予見することができたのに、精神を緊張させずにこれを予見しなかったことにある。
B説:過失の本質は、社会生活上必要な注意を怠り、結果を回避するための適切な措置を採らなかったことにあり、その前提として、構成要件的結果及び因果経過の基本部分に対する具体的な予見可能性が必要になる。
C説:過失の本質は、B説と同様であるが、結果に対する具体的な予見可能性を必要とせず、一般人に対して何らかの結果回避措置を命じるのが合理的であるといえる程度の危惧感があれば足りる。
【記述】
ア.A説からは、いわゆる信頼の原則を過失犯に適用する余地はない。
イ.A説は、故意犯と過失犯は客観面が共通であり、両者は主観面において区別されるとの見解と親和的である。
ウ.B説に対しては、結果回避のための適切な措置と行政取締法規が定める義務とを区別するのは困難であり、行政取締法規の義務違反が刑法上の過失になってしまうとの批判が可能である。
エ.B説に対しては、自動車運転はそれ自体危険な行為であり、いかなる運転行為からも死傷結果が生じ得る以上、容易に予見可能性が認められ、過失犯の成立範囲が広くなりすぎるとの批判が可能である。
オ.C説に対しては、構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性がないにもかかわらず、漠然とした危惧感だけで過失責任を追及することは責任主義に反するとの批判が可能である。
公式解答
2. ア エ
正誤・解説
A /
A説からは、いわゆる信頼の原則を過失犯に適用する余地はない。
解説では、A説でも被害者や第三者が適切に行動することへの信頼が相当な場合には、結果予見ができなかったとして信頼の原則を過失犯に適用する余地があるとしている。
B /
A説は、故意犯と過失犯は客観面が共通であり、両者は主観面において区別されるとの見解と親和的である。
解説では、A説は旧過失論として位置付けられ、故意犯と過失犯を主観面で区別する見解と親和的であるとされている。
C /
B説に対しては、結果回避のための適切な措置と行政取締法規が定める義務とを区別するのは困難であり、行政取締法規の義務違反が刑法上の過失になってしまうとの批判が可能である。
解説どおり、B説には、結果回避措置と行政取締法規上の義務の区別が難しく、行政法規違反がそのまま過失とされやすいという批判がある。
D /
B説に対しては、自動車運転はそれ自体危険な行為であり、いかなる運転行為からも死傷結果が生じ得る以上、容易に予見可能性が認められ、過失犯の成立範囲が広くなりすぎるとの批判が可能である。
解説では、この批判はB説ではなくC説に対するものとして説明されている。B説は具体的予見可能性を要するため、記述はずれている。
E /
C説に対しては、構成要件該当事実に関する具体的な予見可能性がないにもかかわらず、漠然とした危惧感だけで過失責任を追及することは責任主義に反するとの批判が可能である。
解説では、C説は具体的予見可能性を不要とするため、漠然とした危惧感だけで責任を問うのは責任主義に反するとの批判が可能とされている。
全体要旨
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