刑法 第52問
教材: 刑法①
司法試験 H25 第19問
論点: 錯誤
問題
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【事例】
Aは、殺意をもって、Bを狙い、けん銃を発射したところ、その弾丸がBを貫き、たまたまBの背後を通行中のCにも命中したが、B、C共に死亡しなかった。なお、Aは、けん銃を発射した時点で、Cの存在を認識していなかった。
【見解】
犯罪の故意があるとするには、罪となるべき事実の認識を必要とするものであるが、犯人が認識した罪となるべき事実と現実に発生した事実とが必ずしも具体的に一致することを要するものではなく、両者が法定の範囲内に一致することをもって足りる。人を殺す意思のもとに殺害行為に出た以上、犯人の認識しなかった人に対してその結果が発生した場合にも、その結果について殺人の故意があり、Bに対する所為についてはもちろんのこと、Cに対する所為についても殺人未遂罪が成立し、両罪は観念的競合となる。
公式解答
3
正誤・解説
1 /
この【見解】によれば、甲が殺意をもって、乙を狙い、けん銃を発射したところ、弾丸が乙に命中したが、乙は死亡せず、乙を貫通した弾丸が甲が予期しなかった丙にも命中して丙も死亡した場合、甲には、丙に対する殺人既遂罪が成立するが、乙に対する殺人罪は成立しない。
【見解】は、認識しなかった者に結果が生じても、その結果について殺人の故意を肯定する。したがって、丙について既遂が成立しうる一方、乙についても未遂が成立し、設問のように乙の罪が成立しないとはいえない。
根拠条文:刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く
刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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2 /
この【見解】によれば、甲が殺意をもって、乙を狙い、けん銃を発射したところ、弾丸が乙に命中して乙が死亡し、乙を貫通した弾丸が甲が予期しなかった丙にも命中して丙も死亡した場合、甲には、乙に対する殺人既遂罪、丙に対する過失致死罪が成立する。
【見解】では、予期しなかった丙に結果が生じても殺人の故意があるため、丙は過失致死ではなく殺人の問題となる。設問の処理はこの見解と合わない。
根拠条文:刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く
刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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3 /
この【見解】に対しては、殺人罪は被害者ごとに成立する犯罪であるから、被害者の個別性は構成要件的に重要な事実であるとの批判がある。
解説で「本肢記載のとおりである」とされている。被害者ごとに成立する犯罪として、個別性を重要視する立場からの批判である。
根拠条文:刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く
刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
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一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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4 /
この【見解】に対しては、いわゆる客体の錯誤の場合と方法の錯誤の場合とで故意の有無について結論が異なるのは不合理であるとの批判がある。
解説では、客体の錯誤と方法の錯誤の区別を示したうえで、この見解のように両者で故意判断を異ならせることは問題ないとされている。設問の批判は誤り。
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罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
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一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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5 /
この【見解】に対しては、1人を殺す故意しかないのに、1人を殺した場合より処断刑が重くなるのは妥当ではないとの批判がある。
解説では、両罪が観念的競合となる以上、54条1項により最も重い刑で処断されるため、1人を殺した場合より重くなることはないとされている。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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全体要旨
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