刑法 第48問
教材: 刑法①
司法試験 H20 第7問
論点: 錯誤一般
問題
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公式解答
4. ウ エ
正誤・解説
A /
甲は、乙が所有する木造家屋に乙が現住しているものと思って、同家屋に放火し、これを全焼させたが、実際は同家屋はだれも現在しない空き家であった。この場合、甲には現住建造物等放火罪が成立するが、非現住建造物等放火罪の刑による。
判例は、現住建造物等放火罪と非現住建造物等放火罪は客体が異なるだけで、保護法益と放火という行為態様が共通し、構成要件が実質的に重なり合う範囲で故意が認められるとする。本件では非現住建造物等放火罪が成立する方向で、記述は誤り。
根拠条文:刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法109条第1項・e-Govで法令を開く刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
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刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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B /
甲は、男性の乙が、酔酔して暴れ回る女性の丙を取り押さえているのを目撃し、乙が丙に対し無理矢理わいせつ行為に及ぼうとしているものと誤信し、丙を助けるため、乙の腹部をゴルフクラブで数回強く殴打するなどの暴行を加えて重傷を負わせた。甲の暴行の程度が、甲が認識した急迫不正の侵害に対する防衛行為としての相当性を超えていた場合、甲には傷害罪は成立しない。
判例は、正当防衛の前提となる事実の誤認があっても、認識した事実と現実に発生した事実が法定の範囲内で一致すれば、構成要件該当性や違法性阻却の問題として処理しうるとしている。ただし、暴行が防衛の相当性を超えるなら傷害罪が成立し得るため、記述は誤り。
根拠条文:刑法204条・e-Govで法令を開く刑法36条第1項・e-Govで法令を開く刑法36条第2項・e-Govで法令を開く
刑法204条―現行条文本文
第二百四条 (傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法36条第1項―現行条文本文
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
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刑法36条第2項―現行条文本文
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
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C /
甲は、乙に対する殺意をもって、その背後からけん銃を発射したところ、乙は赤ん坊の丙を抱いており、銃弾がこの身体を貫通した後、丙にも命中し、乙及び丙の両名を死亡させた。甲が、乙に抱かれている丙の存在を認識していなかった場合でも、甲には乙及び丙に対する殺人罪が成立する。
判例は、殺意の対象について現実の結果と認識した事実が法定の範囲で一致すれば足り、具体的な客体の細部一致までは要しないとしている。乙を殺害する意図で発射し、その結果として丙も死亡した以上、丙についても殺人罪の成立が肯定される。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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D /
甲は、公務員乙がその法令上の職務Aを執行するに当たり、乙が執行している職務がそれとは別の法令上の乙の職務Bであると誤信して乙の顔面を手拳で殴る暴行を加えた。乙の執行する職務が職務Aであると分かっていれば、甲は上記暴行には及ばなかったという事情があった場合でも、甲には公務執行妨害罪が成立する。
判例は、公務執行妨害罪でも、犯意の対象となるべき事実と現実に発生した事実が法定の範囲で一致すれば足りるとしている。職務の法的評価を取り違えていても、実際に公務員の職務執行に対する暴行であれば公務執行妨害罪は成立する。
根拠条文:刑法95条第1項・e-Govで法令を開く
刑法95条第1項―現行条文本文
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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E /
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解したものの、その程度の性的描写であれば刑法上の「わいせつな文書」には該当しないと判断し、同文書を販売した。この場合、甲にわいせつ文書販売罪は成立しない。
判例は、わいせつ性の認識として、客観的に猥褻性を備える文書を販売する認識があれば足り、法律評価としてわいせつ文書に当たらないと誤信しても故意は否定されないとする。したがって、記述は誤り。
根拠条文:刑法175条第1項・e-Govで法令を開く
刑法175条第1項―現行条文本文
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
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全体要旨
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