刑法 第47問
教材: 刑法①
司法試験 H18 第8問
論点: 事実の錯誤
問題
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【見解】「故意を認めるためには犯罪事実の認識が必要であるが、行為者が認識した犯罪事実と現実に発生した犯罪事実が異なっていても、両者が法定の範囲内において重なり合う限度で、軽い犯罪の故意を認めることができる。」
公式解答
4
正誤・解説
p1 /
甲が誤ってVに重な傷を負わせたところ、Vと全く関係のない乙が、甲と何ら意思の連絡なく、まだ生きているVを既に死亡したものと思って遺棄した場合、乙について死体遺棄罪の成立を肯定することができる。
乙は生存中のVを遺棄しており、現実に発生した事実は「死体」遺棄ではない。見解を前提にしても、認識事実と現実事実が法定範囲で重ならず、死体遺棄罪は肯定できない。
根拠条文:刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法217条・e-Govで法令を開く刑法190条・e-Govで法令を開く
刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法217条―現行条文本文
第二百十七条 (遺棄)
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の拘禁刑に処する。
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刑法190条―現行条文本文
第百九十条 (死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。
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p2 /
甲が殺意をもってV1をねらいけん銃を発射したところ、V1に命中した弾丸が更にV2にも当たり、V1及びV2が死亡した場合、V1に結果が発生した以上、V2に対する殺人罪の成立を肯定する余地はない。
V2についても殺人罪の成否を別途検討する必要がある。見解は、認識した犯罪事実と現実に発生した犯罪事実が法定範囲で重なる限り軽い故意を認め得るとするので、V1に結果が生じたからV2の殺人罪が当然に否定されるとはいえない。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p3 /
甲が殺意をもってVをねらいけん銃を発射したところ、甲は弾丸を頭部に命中させて即死させるつもりだったが、頭部には命中せずにVの下腹部に当たって受傷させ、搬送先の病院で死亡させた場合、殺人罪の成立は否定される。
狙った部位と実際に命中した部位が違っても、人を殺す意思のもとで発射し、死亡結果が生じれば殺人罪の成立は否定されない。見解上も、認識事実と現実事実が法定の範囲で重なるため故意は認められる。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p4 /
甲が殺意をもってVをねらいけん銃を発射したところ、弾丸はVに命中せずにVが散歩中に連れていたVの犬に当たって死なせた場合、器物損壊罪の成立は否定される。
犬は「他人の物」に当たり、Vに対する殺人の故意とは法益が異なるが、結果として犬を死なせているので器物損壊罪が成立し得る。見解を前提にしても、器物損壊罪の成立は否定されない。
根拠条文:刑法261条・e-Govで法令を開く刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法261条―現行条文本文
第二百六十一条 (器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p5 /
甲が乙に対しV宅に空き巣に入るように唆したところ、乙はV宅の戸締まりが厳重であったために空き巣に入ることをあきらめて帰宅したが、その途中、乙は、自宅近くでたまたま入ったコンビニエンスストアで急に空腹を覚え、自分で食べるためにパンを万引きした場合、甲について窃盗(既遂)教唆罪の成立を肯定することができる。
甲が唆したのは空き巣であり、乙が実行したのはコンビニでのパンの万引きであって、法定の範囲で重なり合わない。したがって、甲について窃盗(既遂)教唆罪は肯定できない。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く刑法61条第1項・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法61条第1項―現行条文本文
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
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全体要旨
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