刑法 第43問
教材: 刑法①
司法試験 H29 第3問
論点: 故意
問題
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次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
公式解答
2. ア オ
正誤・解説
A /
甲は、乙を殺害する目的で、乙を含む複数の者の飲用に供されているペットボトル内のお茶に致死量の劇薬を投入した。その結果、そのお茶を飲用した複数の者全員が死亡した。この場合、甲には、前記お茶を飲用して死亡した者の数に応じた殺人罪の故意が認められる。
判例は、殺意の対象が特定人でも、その認識した危険が現実に生じた範囲では結果について故意を認める立場をとる。複数人が死亡したなら、その人数に応じた殺人の故意が認められる。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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I /
覚せい剤を含有する粉末を所持していた甲は、同粉末が身体に有害で違法な薬物であることは認識していたが、覚せい剤や麻薬ではないと認識していた。この場合、甲には覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持)の罪の故意が認められる。
判例は、覚せい剤所持の故意には、少なくともそれが覚せい剤であることの認識が必要とする。単に有害な違法薬物という認識だけでは足りない。
U /
甲は、客観的にはわいせつな文書を、その意味内容は理解しつつも、刑法上のわいせつな文書に該当しないと考え、多数の者に販売した。この場合、甲にわいせつ物頒布罪の故意は認められない。
判例は、わいせつ性の認識がなくても、客観的にわいせつ文書を頒布していれば故意を否定しない。法的評価の誤りは故意を阻却しない。
根拠条文:刑法175条第1項・e-Govで法令を開く
刑法175条第1項―現行条文本文
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。
電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
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E /
甲は、乙宅前路上に置かれていた自転車を、乙の所有物と認識して持ち去ったが、実際には同自転車は無主物だった。この場合、甲には遺失物横領罪が成立する。
遺失物横領罪は「他人の物」を対象とするので、無主物を持ち去っても成立しない。所有者がいると思っていても、客観的に他人の物であることが必要とされる。
根拠条文:刑法254条・e-Govで法令を開く
刑法254条―現行条文本文
第二百五十四条 (遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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O /
甲は、第三者が起こした交通事故により瀕死の重傷を負い路上に倒れていた乙を、既に死亡していると思って山中に遺棄した。この場合、甲に死体遺棄罪は成立しない。
判例は、遺棄時に客観的には生存していても、死亡していると思って遺棄した以上、死体遺棄罪の故意は認めない。したがって成立しない。
根拠条文:刑法190条・e-Govで法令を開く刑法217条・e-Govで法令を開く
刑法190条―現行条文本文
第百九十条 (死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。
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刑法217条―現行条文本文
第二百十七条 (遺棄)
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の拘禁刑に処する。
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全体要旨
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