刑法 第30問
教材: 刑法①
司法試験 H19 第12問
論点: 因果関係
問題
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公式解答
5
正誤・解説
p1 /
不作為犯における不作為と結果との間に刑法上の因果関係を認めるためには、不作為の後に結果の発生が認められることで足り、期待される作為をなしえていたとすれば結果を避け得たことが合理的な疑いを超える程度に確実であったことまでは必要とされない。
判例は、不作為犯でも「作為がされていれば結果を回避できた蓋然性」が必要で、単に不作為の後に結果が発生しただけでは足りないとする。
p2 /
甲がVを殴打したところ、Vには重篤な心臓疾患があったため、その疾患と相まってVが死亡した場合、V自身が同疾患の存在を認識していない限り、甲の殴打とVの死亡の結果との間に因果関係を肯定することはできない。
被害者側の素因や疾患があっても、加害行為がその結果発生に寄与していれば因果関係は否定されない。被害者の認識の有無は決定的ではない。
p3 /
甲がVの腹部をナイフで突き刺して内臓損傷の重傷を負わせたところ、Vは救急病院に搬送されて緊急手術を受け、術後、いったん容体は安定したところ、意識を回復したVが、医師の指示に従わず安静に努めなかったために治療の効果が上がらず、上記内臓損傷により死亡した。この場合、治療の効果が失われたのはVの落ち度によるのであるから、Vの内臓損傷がそれ自体死亡の結果をもたらし得るものであっても、甲の刺突行為とVの死亡の結果との間の因果関係を肯定することはできない。
被害者の不注意で治療効果が下がっても、初期傷害が死亡結果を生じさせ得るなら因果関係は切れないとされる。
p4 /
甲及び乙が木刀と野球のバットでVを執拗に殴打し、辛うじて逃走したVを更に殴打すべく追跡したところ、Vは、追跡を逃れようとビルの屋上に逃げ、更に約1メートル離れた隣のビルの屋上に飛び移ろうとして地上に落下して死亡した場合には、Vは自ら危険な行動を行っている以上、甲及び乙による殴打、追跡とVの死亡の結果との間に因果関係を肯定することはできない。
被害者が加害行為から逃れるためにとった行動が著しく不自然・不相当といえない限り、死亡結果は加害行為に起因するとして因果関係が肯定される。
p5 /
甲が自動車を運転中、自転車に乗ったVを跳ね飛ばして自動車の屋根に跳ね上げ意識を喪失させたが、Vに気付かないまま自動車の運転を続けるうち、自動車の同乗者がVに気付き、走行中の自動車の屋根からVを引きずり降ろして路上に転倒させた。その結果、Vは頭部に傷害を負って死亡したが、Vの死因である傷害が自動車との衝突の際に生じたものか、路上へ転落した際に生じたものかは不明であった。この場合、同乗者の行為は経験上普通に予想できるところではないから、甲の行為とVの死亡の結果との間に因果関係を肯定することはできない。
判例は、同乗者の行為が経験上通常予想できず、死亡原因も衝突時か転落時か不明な場合、加害行為と死亡との因果関係を否定する。
全体要旨
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