刑法 第29問
教材: 刑法①
司法試験 H18 第18問
論点: 因果関係
問題
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【見解】
A.その行為がなかったならばその結果が発生しなかったであろうという条件関係が必要であり、それで足りる。
B.Aという条件関係の存在を前提に、行為当時一般人に認識・予見可能だった事情及び行為者が特に認識・予見していた事情を基礎として、その行為からその結果が生ずることが相当であると認められることが必要である。
C.Aという条件関係の存在を前提に、行為当時存在したすべての事情及び一般人に予見可能だった行為後の事情を基礎として、その行為からその結果が生ずることが相当であると認められることが必要である。
【事例】
I.甲がVを後ろから突き飛ばしたところ、Vは転倒して頭部打撲の傷害を負った。Vは心臓に異常があり、心筋こうそくが起こりやすい状態だったため、転倒により心筋こうそくが起こって死亡した。
II.甲がVの頭部を鉄パイプで殴打したところ、Vは脳挫傷の傷害を負い意識不明の重体になったが、甲はVを路上に放置したまま立ち去った。その直後、その場所を通り掛かった乙運転の自動車がVをひいたため、Vは内臓破裂により即死した。なお、Vは、乙運転の自動車にひかれなくても、翌日には脳挫傷により死亡していたと認められた。
公式解答
ア2 / イ2 / ウ1 / エ2
正誤・解説
A /
Iの事例で、行為当時、一般人はVに心臓の異常があるという事情を認識・予見することができなかったが、甲はその事情を認識・予見していた場合、A及びBの見解からは、甲の行為とVの死亡との間の因果関係が肯定されるが、Cの見解からは、因果関係が否定される。
A・B・Cはいずれも、Iの事例では結論として因果関係を肯定する。Cも、行為時存在した事情を基礎にする以上、Vの心臓異常を踏まえて相当因果関係を認めるので、設問は誤り。
B /
Iの事例で、行為当時、一般人はVに心臓の異常があるという事情を認識・予見することができなかったし、甲も認識・予見していなかった場合、AないしCのいずれの見解からも、甲の行為とVの死亡との間の因果関係が肯定される。
Bの説明どおり、甲も心臓異常を知らないなら、その事情を基礎に相当性を認めることはできず、Bでは因果関係は否定される。したがって「いずれの見解からも肯定」は誤り。
C /
IIの事例で、行為当時、一般人はVが放置された路上が自動車の通行のある場所であるという事情を認識・予見することができたが、甲はその事情を認識・予見することができなかった場合、AないしCのいずれの見解からも、甲の行為とVの死亡との間の因果関係が肯定される。
IIでは、放置場所が自動車の通行場所である事情を一般人が予見できれば、A・B・Cのいずれでも、その事情を踏まえて甲の行為と死亡との相当因果関係を肯定できる。
D /
IIの事例で、この行為に過失があった場合、Aの見解からは、この行為とVの死亡との間の因果関係が肯定されるが、B及びCの見解からは、因果関係が否定される。
Aでは条件関係があれば足りるため肯定され得るが、B・Cも、IIでは放置や交通状況などを基礎に相当因果関係を肯定できる。よって「B及びCは否定」は誤り。
全体要旨
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