刑法 第24問
教材: 刑法①
司法試験 R03 第9問
論点: 不作為犯
問題
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刑法
公式解答
21121
正誤・解説
ア /
甲は、勤務先の事務室で1人で残業をしていたところ、使用中の電気ストーブから周囲の可燃物に誤って引火させた。甲は、その時点での消火作業は容易であったにもかかわらず、同室を含む勤務先建物が焼損することを認容して、消火作業をすることなく、同室から立ち去り、その結果、同建物が全焼した。その行為当時、同建物の他の部屋では甲の同僚が仮眠中であり、甲もそのことを認識していた。この場合、甲に既発の火力を利用する意思がなければ、現住建造物等放火罪は成立しない。
判例は、既発の火力を利用する意思がなくても、火災が既に発生し、消火可能なのに必要な手段を尽くさず建物を焼損させれば、放火罪の成立を認めている。したがって、本肢は誤り。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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イ /
甲は、Vと2人きりのホテル客室で、その同意の下、Vに対し、覚醒剤を注射したところ、Vが体調の異変を訴え、錯乱状態に陥ったため、救急医療を要請する必要があることを認識し、その要請をしていれば、Vの救命は確実であったにもかかわらず、その要請をすることなく、Vを放置したまま同室から立ち去り、その結果、Vが死亡したが、甲に殺意はなかった。この場合、甲がVを放置した行為とVの死亡との間の因果関係に欠けることはなく、甲には、保護責任者遺棄等致死罪が成立する。
判例は、先行行為により保護義務を負い、救命の可能性が高いのに必要な措置を尽くさず放置して死亡させた場合、遺棄と死亡との因果関係を肯定し、保護責任者遺棄等致死罪の成立を認めている。
根拠条文:刑法218条・e-Govで法令を開く刑法219条・e-Govで法令を開く
刑法218条―現行条文本文
第二百十八条 (保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
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刑法219条―現行条文本文
第二百十九条 (遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
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ウ /
甲は、深夜、自動車を運転中、路上で過失により通行人Vに同車を衝突させて、歩行不能の重傷を負わせた上、一旦Vを同車に乗せて、降雪の周囲にひとけのない路上に移動し、Vに対し、医師を呼んでくるうそを言って、Vを同車から降ろし、同車で同路上から立ち去ったが、甲に殺意はなかった。この場合、甲には、Vを保護する責任があり、保護責任者遺棄等罪が成立する。
判例は、事故後に被害者を自動車に乗せて移動し、救護に必要な措置を講じないまま人けのない場所に置き去りにした事情から、保護責任を認めている。先行行為に基づく保護義務違反として保護責任者遺棄等罪が成立する。
根拠条文:刑法218条・e-Govで法令を開く
刑法218条―現行条文本文
第二百十八条 (保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
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エ /
甲は、自己の口座に振込先を誤った振込入金があったことを知ったが、銀行窓口において、窓口係員に対し、その受取人として上記の誤った振込入金があった旨を告知せずに、その払戻しを請求し、事情を知らない同係員をして、払戻しに応じさせた。この場合、甲には、上記の誤った振込入金があったことを告知する義務はなく、詐欺罪は成立しない。
判例は、誤振込があることを知った預金者には、銀行に告知して誤払戻しを防ぐ信義則上の義務があるとし、その秘匿により払戻しを受ける行為を詐欺罪と評価している。したがって、本肢は誤り。
根拠条文:刑法246条第1項・e-Govで法令を開く
刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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オ /
甲は、面識のない他人のVと口論に及び、その首を絞めて窒息死させ、Vの死体をその場に放置して逃走した。この場合、甲には墳墓義務はなく、死体遺棄罪は成立しない。
判例は、殺人犯については、原則として死体を現場に放置することが直ちに死体遺棄罪となるわけではなく、特段の事情がない限り別途の遺棄罪は成立しないとしている。本肢は正しい。
根拠条文:刑法190条・e-Govで法令を開く
刑法190条―現行条文本文
第百九十条 (死体損壊等)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。
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全体要旨
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