刑法 第19問
教材: 刑法①
司法試験 R03 第13問
論点: 離隔犯
問題
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【事例】
甲は、知人の乙に、毒物を混入したワイン(以下「本件ワイン」という。)を送り付ければ、乙がそれを自ら飲んで死亡すると考えた。甲は、某日、本件ワインを宅配業者の事務所に持ち込み、3日後の配達指定をして、乙宅への配達を申し込んだ。しかし、本件ワインは、申込み当日、同事務所での保管中に瓶が破損して廃棄処分となったため、乙宅に配達されることはなかった。
【記述】
ア. 間接正犯の実行の着手については、被利用者の行為を基準として実行の着手を判断すべきところ、本件では、それと同様の考え方が妥当する。
イ. 結果発生の一定の蓋然性が生じれば、未遂犯の成立を認めることができるところ、我が国の一般的な宅配業務の実情を前提とした場合、本件ワインの配達を申し込んだ時点で乙宅に到着することはほぼ確実といえる。
ウ. 実行の着手は、行為者が、その犯行計画上、構成要件実現のためになすべきことを行った時点で認めることができる。
エ. 甲が、宅配業者に依頼せず、自ら乙宅に本件ワインを届けようとした場合には、乙宅に本件ワインを届けるまでは殺人未遂が成立しないこととの均衡を考慮する必要がある。
オ. 既遂結果発生の時間的に切迫した危険を内容とする未遂結果は、刑法第43条の書かれざる構成要件要素である。
公式解答
3. イ・ウ
正誤・解説
ア /
間接正犯の実行の着手については、被利用者の行為を基準として実行の着手を判断すべきところ、本件では、それと同様の考え方が妥当する。
間接正犯の着手は、被利用者の行為を基準にみるのが原則だが、本件ではそのような問題ではなく、甲自身が宅配申込みをした時点での着手が問題となる。したがって、この記述は論拠として適切でない。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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イ /
結果発生の一定の蓋然性が生じれば、未遂犯の成立を認めることができるところ、我が国の一般的な宅配業務の実情を前提とした場合、本件ワインの配達を申し込んだ時点で乙宅に到着することはほぼ確実といえる。
未遂成立には、結果発生の一定の蓋然性が生じたといえることが重要であり、一般的な宅配実務を前提にすれば、申込み時点で乙宅到着がほぼ確実と評価できる。よって適切。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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ウ /
実行の着手は、行為者が、その犯行計画上、構成要件実現のためになすべきことを行った時点で認めることができる。
実行の着手を、犯行計画上、構成要件実現のために行うべき行為をした時点で捉える考え方は、本件では甲が乙宅への配送を申し込んだ時点に当たるとして適切とされる。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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エ /
甲が、宅配業者に依頼せず、自ら乙宅に本件ワインを届けようとした場合には、乙宅に本件ワインを届けるまでは殺人未遂が成立しないこととの均衡を考慮する必要がある。
自ら運ぶ場合との均衡は、宅配業者を利用した本件での着手時期を左右する決定的事情ではない。判例・解説は、宅配実務上の到達可能性や行為者の計画内容を重視しているため、この記述は不適切。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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オ /
既遂結果発生の時間的に切迫した危険を内容とする未遂結果は、刑法第43条の書かれざる構成要件要素である。
43条は未遂犯の一般規定であり、未遂結果を「書かれざる構成要件要素」とみる説明はこの設問の結論と合わない。問題文の場面では、配達されず危険が切迫したとはいえないので不適切。
根拠条文:刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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全体要旨
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