刑事訴訟法 第295問
教材: 刑事訴訟法②
司法試験 H21 第36問
論点: 伝聞証人
問題
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【事例】
被告人甲は、Vを殺害した殺人被告事件で起訴されたが、同被告事件の第1回公判期日において、犯行日のアリバイを主張し、自分は犯人ではない旨述べた。
同被告事件の第×回公判期日において、検察官が、「被告人がVを殺害したこと」を立証趣旨として、Aを証人尋問したところ、Aは、「事件のあった翌日、甲が私に対し、Vを殺したと言った。」と証言した(A証言)。
次に、同被告事件の第×回公判期日において、検察官が、「Wが犯行時間帯に犯行現場付近で被告人を目撃したこと」を立証趣旨として、Bを証人尋問したところ、Bは、「友人のWが私に対し、事件直後に現場付近で甲を見たと言っていた。」と証言した(B証言)。
次に、同被告事件の第×回公判期日において、弁護人が、「被告人が犯行日に旅行中でアリバイがあること」を立証趣旨として、Cを証人尋問したところ、Cは、「甲が私に対し、事件があった日には旅行中であったと言っていた。」と証言した(C証言)。
なお、弁護人は、Aの証人尋問の終了までに前記A証言を、Bの証人尋問終了までに前記B証言をそれぞれ証拠とすることに異議を申し立てず、また、検察官は、Cの証人尋問の終了までに前記C証言を証拠とすることに異議を申し立てた。
公式解答
5. イエオ
正誤・解説
ア /
A証言は、不利益な事実の承認をした被告人の署名又は押印がないので、これを証拠とすることができない。
刑訴法322条1項の「被告人の供述を録取した書面」等では署名押印が問題となるが、設問のA証言は証人が法廷で述べた供述であり、この理由では証拠能力を否定できない。
根拠条文:刑事訴訟法322条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法319条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法322条第1項―現行条文本文
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
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刑事訴訟法319条―現行条文本文
第三百十九条
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
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イ /
A証言は、被告人のAに対する供述が任意にされたものであると認めるときは、これを証拠とすることができる。
A証言は被告人の不利益な事実の承認を内容とする供述を内容とするため、任意性が認められれば証拠能力が肯定される。
根拠条文:刑事訴訟法322条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法319条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法322条第1項―現行条文本文
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
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刑事訴訟法319条―現行条文本文
第三百十九条
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
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ウ /
B証言は、Wが公判期日においてWがBにした供述と相反する供述をしたとき、かつ、公判期日における供述よりもWがBにした供述を信用すべき特別の事情の存するときに限り、これを証拠とすることができる。
B証言は他の者の公判外供述の証明として問題となるが、設問のような厳格な要件は不要で、321条1項3号の要件をそのまま要求する趣旨ではない。
根拠条文:刑事訴訟法324条第2項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条第1項第3号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法324条第2項―現行条文本文
被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号の規定を準用する。
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刑事訴訟法321条第1項第3号―現行条文本文
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
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エ /
B証言は、Wが所在不明であるため公判期日において供述することができず、かつ、Wの供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるときは、Wの供述が特に信用すべき状況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
他の者の公判外供述を内容とする供述は、324条2項により321条1項3号を準用する。したがって、所在不明・必要性・特信性があれば証拠能力が認められる。
根拠条文:刑事訴訟法324条第2項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条第1項第3号・e-Govで法令を開く刑事訴訟法324条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法324条第2項―現行条文本文
被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人以外の者の供述をその内容とするものについては、第三百二十一条第一項第三号の規定を準用する。
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刑事訴訟法321条第1項第3号―現行条文本文
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
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刑事訴訟法324条第1項―現行条文本文
被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条の規定を準用する。
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オ /
C証言は、被告人のCに対する供述が特に信用すべき状況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
被告人の供述を内容とする他の者の証言については、被告人に不利益な事実の承認を内容とする場合に特信性があれば証拠能力が認められる。
根拠条文:刑事訴訟法324条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法322条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法324条第1項―現行条文本文
被告人以外の者の公判準備又は公判期日における供述で被告人の供述をその内容とするものについては、第三百二十二条の規定を準用する。
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刑事訴訟法322条第1項―現行条文本文
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
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カ /
C証言は、被告人が犯行日に旅行中でアリバイがあることを立証するための証拠とはなり得ないが、A証言中の被告人のAに対する供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる。
C証言はアリバイ立証にもなり得るし、A証言の証明力を争うための証拠としても問題となる。設問のように全面的に否定するのは誤り。
根拠条文:刑事訴訟法328条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法328条―現行条文本文
第三百二十八条
第三百二十一条乃至第三百二十四条の規定により証拠とすることができない書面又は供述であつても、公判準備又は公判期日における被告人、証人その他の者の供述の証明力を争うためには、これを証拠とすることができる。
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全体要旨
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