刑事訴訟法 第294問
教材: 刑事訴訟法②
予備試験 R06 第17問
論点: 伝聞証拠
問題
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【事例】
Xは、令和5年5月1日午後11時頃、甲市内の路上で、帰宅途中の女性の横をバイクで通り過ぎる際に、その腕からハンドバッグをひったくったという窃盗の被疑事実で逮捕された。逮捕直後の警察官による取調べにおいて、Xは、上記の犯行が行われたとされる日は、午後7時に帰宅して以降、外出しておらず、本件犯行は自分が行ったものではない旨供述し、それが書面に録取された(供述録取書①)。しかし、その後の取調べで、警察官が、犯行現場付近に設置された防犯カメラに、同日午後10時58分にその場を通り過ぎるXのバイクが映っていることを告げると、Xは、同日午後11時頃に、酒を買うために犯行現場付近にあるコンビニエンスストアに出かけたことを失念しており、その際に犯行現場である道路をバイクで通ったことを思い出したが、本件犯行は自分が行ったものではない旨供述を変更し、それが書面に録取された(供述録取書②)。さらに、数日後の取調べにおいて、警察官から、上記コンビニエンスストアの防犯カメラの同年5月1日夜の録画記録にはXは全く映っていなかったことを告げられると、Xは、これは無念した様子で、上記のひったくりを行ったことを認める供述をした。そこで、警察官はその供述を書面に録取した(供述録取書③)。
公式解答
22121
正誤・解説
ア /
Xが起訴され、公判期日において供述した場合、供述録取書①の証拠能力が認められることはない。
供述録取書①は、被告人の供述を内容とする書面であり、321条1項本文の例外や322条1項の要件次第で証拠能力が問題となる。公判期日の供述があるからといって直ちに証拠能力が否定されるわけではない。
根拠条文:刑事訴訟法321条・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法322条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法322条第1項ただし書・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法321条―現行条文本文
第三百二十一条
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を含む。次号において同じ。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
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刑事訴訟法321条第1項―現行条文本文
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を含む。次号において同じ。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
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刑事訴訟法322条第1項―現行条文本文
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
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刑事訴訟法322条第1項ただし書―現行条文本文
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
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イ /
供述録取書①については、Xの供述の任意性に疑いがなければ、証拠能力が認められる。
任意性だけで足りず、321条1項本文の類型に当たるか、322条1項の「特に信用すべき情況」などの要件が必要。供述録取書①は自白ではないので、任意性のみによる証拠能力肯定ではない。
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刑事訴訟法321条―現行条文本文
第三百二十一条
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を含む。次号において同じ。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
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一 裁判官の面前(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を含む。次号において同じ。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
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刑事訴訟法322条第1項―現行条文本文
被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
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ウ /
供述録取書②については、供述録取書③と同じ要件の下で、証拠能力が認められる。
②も③も、被告人の供述を録取した書面として322条1項の要件が問題となり、内容が自白か否かで結論が分かれる。設問では、どちらも同じ要件で証拠能力を判断する趣旨で正しい。
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エ /
供述録取書③については、刑事訴訟法第319条第1項は適用されず、同法第322条第1項ただし書が適用される。
供述録取書③は自白を内容とする書面なので、322条1項の本文・ただし書に加え、319条1項との関係も問題となる。よって「319条1項は適用されず」とするのは誤り。
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刑事訴訟法322条第1項―現行条文本文
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刑事訴訟法319条第1項―現行条文本文
強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
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オ /
供述録取書③が、検察官による取調べにおいて作成された場合であっても、証拠能力が認められる要件は同じである。
322条1項の要件は、検察官作成か警察官作成かで区別されない。したがって、作成者が検察官でも、証拠能力判断の基本要件は同じである。
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