刑事訴訟法 第265問
教材: 刑事訴訟法②
司法試験 H24 第32問
論点: 補強法則
問題
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【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
公式解答
1
正誤・解説
proposition_1 /
甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには、甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり、この補強証拠がない限り、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。
判例は、無免許運転罪では運転行為だけでなく、無免許であることについても補強証拠を要するとする。自白のみで有罪認定することはできない。
proposition_2 /
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするには、V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり、V1の死体を発見できなかった場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
補強証拠は、犯罪構成事実の全部を裏づける必要まではなく、自白にかかる事実の真実性を保護し得るもので足りる。死体発見がなくても、補強証拠として足りる場合がある。
proposition_3 /
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするためには、Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要不可欠であり、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
判例は、供述調書と知人宛て手紙の内容が同じなら、その手紙も「本人の自白」に含まれ得るとしている。したがって、手紙以外の証拠が常に必要とはいえない。
proposition_4 /
甲を住居侵入、窃盗の罪で有罪とするには、平成23年4月3日より前にV2が前記被害届を届けていることについての補強証拠が必要不可欠であり、前記甲の自白を端緒に捜査を開始した結果、V2が前記被害に気付いて被害を届けた場合、甲を住居侵入、窃盗の罪で有罪とする余地はない。
補強証拠は自白の内容をすべて独立に裏づける必要はなく、被害届の時期に限定もない。自白を端緒に被害申告がなされた場合でも、直ちに補強証拠にならないとはいえない。
proposition_5 /
甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とするには、V2が被害直後に現金10万円と時計1個を窃取された旨の被害を届けていた場合であっても、被害金品の所在及び使途についての補強証拠が必要不可欠であり、たとえ、甲から押収した被害に係る時計1個が証拠として存在しても、被害に係る現金10万円の使途を全て明らかにする補強証拠がない限り、甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とする余地はない。
窃盗の補強証拠として、被害品の所在・使途まで全て明らかにする必要はない。盗品が一部押収されるなど、被害事実の真実性を支える資料で足りる。
全体要旨
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