刑事訴訟法 第242問
教材: 刑事訴訟法②
予備試験 H29 第22問
論点: 公判準備における証人尋問
問題
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【事例】
検察官は、甲に対する傷害被疑事件の捜査において、目撃者Wを取り調べて供述録取書(以下「検察官調書」という。)を作成した上、甲を傷害罪で地方裁判所に起訴した。検察官は、公判において、検察官調書の取調べを請求したが、弁護人は、これを証拠とすることに同意しなかった。そこで、検察官は、Wの証人尋問を請求した。裁判所は、Wが病気で入院していたため、検察官及び弁護人の意見を聴いて、Wの入院先の病院においてWの証人尋問を実施することを決定した。その後、同病院において、Wの証人尋問が実施されたところ、Wは、検察官調書の内容と相反する供述をした。
公式解答
2. ア エ
正誤・解説
ア /
弁護人は、裁判所がWの証人尋問の実施場所を病院と定めたことについて、相当でないことを理由として適法に異議を申し立てることはできない。
証拠調べに関する決定は原則として異議申立ての対象となるが、設問のような証人尋問の実施場所の決定は「証拠調べに関する決定」に当たるため、相当でないことを理由とする異議申立てはできない。
根拠条文:刑事訴訟法309条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法205条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法309条第1項―現行条文本文
検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。
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刑事訴訟法205条第1項―現行条文本文
検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
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イ /
甲及び弁護人は、いずれも裁判所の許可を得なければ、Wの証人尋問に立ち会うことができない。
証人尋問には被告人・弁護人が立ち会うことができる。許可が必要とするのは原則ではなく、設問文のように「いずれも許可がなければ立ち会えない」とするのは誤り。
根拠条文:刑事訴訟法157条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法157条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法157条第1項―現行条文本文
検察官、被告人又は弁護人は、証人の尋問に立ち会うことができる。
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刑事訴訟法157条第3項―現行条文本文
第一項に規定する者は、証人の尋問に立ち会つたときは、裁判長に告げて、その証人を尋問することができる。
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ウ /
裁判所は、病院でWの証人尋問を実施するに当たっては、その証人尋問を公開しなければならない。
公判前の証拠調べの準備として行う証人尋問は、公判そのものではないため公開の要否は問題とならない。設問は、病院での実施に公開が必要とするが誤り。
根拠条文:刑事訴訟法323条・e-Govで法令を開く日本国憲法37条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法323条―現行条文本文
第三百二十三条
第三百二十一条から前条までに掲げる書面以外の書面は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。
一 戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面
二 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面
三 前二号に掲げるもののほか特に信用すべき情況の下に作成された書面
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日本国憲法37条―現行条文本文
第三十七条
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。
被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
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エ /
裁判所は、Wの証人尋問の実施後、その結果を記載した調書を公判廷で取り調べなければ、証人尋問におけるWの供述内容を事実認定に用いることができない。
公判準備で行った証人尋問の結果は、調書として証拠化して公判廷で取り調べる必要がある。したがって、調書を取り調べなければその供述内容を事実認定に用いることはできない。
根拠条文:刑事訴訟法303条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法303条―現行条文本文
第三百三条
公判準備においてした証人その他の者の尋問、検証、押収(電磁的記録提供命令(第百二条の二第一項第一号イに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)を含む。)、捜索及び電磁的記録提供命令(同号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)(当該電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させることを含む。)の結果を記載した書面並びに押収した物及び電磁的記録提供命令(同号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)により提供させた電磁的記録を記録した記録媒体については、裁判所は、公判期日において証拠書類又は証拠物としてこれを取り調べなければならない。
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オ /
Wの証人尋問が公判期日において行われない限り、検察官調書の証拠能力を認める余地はない。
検察官調書は伝聞証拠として問題となるが、設問は公判期日での証人尋問がなければ一切証拠能力がないとする点で誤り。公判準備段階の供述との関係で、前の供述を信用すべき特別の状況があれば足りる。
根拠条文:刑事訴訟法320条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条第1項第2号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法320条第1項―現行条文本文
第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
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刑事訴訟法321条第1項―現行条文本文
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を含む。次号において同じ。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
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刑事訴訟法321条第1項第2号―現行条文本文
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
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