刑事訴訟法 第236問
教材: 刑事訴訟法②
サンプル
論点: 誘導尋問
問題
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【事例】
被告人甲は、Aに対する5,000万円の債務を返済する資金に窮したことから、知人Bが所有するI市所在の土地・建物について、知人Cに指示して、同人をして、甲B間の虚偽の売買契約書を作成させ、あたかも被告人甲が所有するものであるかのように装ってVに売却し、売買代金名下に5,000万円を詐取したとの事実で公判請求され、裁判所において審理を受けている。
検察官は、第1回公判期日において、裁判所に対し、A、B及びCの各検察官面前調書並びにそのほかの書証の取調べを請求し、弁護人は、A、B及びCの各検察官面前調書を不同意としたので、検察官は、裁判所に対し、A、B及びCの検察官面前調書に代えて、3名の証人尋問を請求し、裁判所の採用決定を経て、第二回公判期日において、上記3名に対する証人尋問を行った。
公式解答
5. オ⑤とカ③
正誤・解説
1 /
ア. 検察官は、被告人甲がVに売却した土地・建物の所有関係を立証するため、証人Bに対し主尋問を行った際、「あなたは、これまで被告人甲と交友がありましたね。」と質問した。
主尋問では、証人の身分・経歴・交友関係など、実質的尋問に入る前に明らかにする必要のある準備的事項を尋ねることができる。交友関係の質問はこれに当たる。
根拠条文:刑事訴訟法199条の3第3項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の3第3項第1号・e-Govで法令を開く
2 /
イ. 検察官は、被告人甲の債務状況を立証するため、証人Aに対し主尋問を行う際、「あなたは、被告人に対し、5,000万円の貸付残高がありますね。」と質問した。
検察官請求に係る被告人甲と証人Aの貸借状況は、弁護人同意のある捜査報告書で裁判所において取調済みであり、訴訟関係人に争いのないことが明らかな事項として主尋問で尋ねることができる。
根拠条文:刑事訴訟法199条の3第3項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の3第3項第2号・e-Govで法令を開く
3 /
ウ. 検察官は被告人甲―B間の売買契約書の虚偽性を立証するため、証人Cに対し主尋問を行った際、証人Cが、上記売買契約書を作成した旨を証言したので、売買契約書と題する書面を示し、「これは、あなたが作成したものですか。」と質問した。
書面の成立や同一性を確認するための示示は、主尋問で必要に応じて許される。ここでは、証人の供述内容を受けて作成した文書の確認として許される場面である。
根拠条文:刑事訴訟法199条の10第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の10第2項・e-Govで法令を開く
4 /
エ. 上記ウにおいて、検察官は、証人Cに対し、被告人甲の指示状況を質問したところ、証人Cが、「そんなことは忘れた。」旨の証言を繰り返したため、検察官は、「あなたは、平成○年○月○日、○○地方検察庁検察官から取調べを受けた際、この点について事実を述べたことはありませんか。」と質問した。
証人が記憶を喚起できないときは、記憶喚起のための示示が許される。検察官が過去の取調べで述べた内容を問い、思い出させようとする質問はこれに当たる。
根拠条文:刑事訴訟法199条の3第3項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の3第3項第5号・e-Govで法令を開く
5 /
オ. 上記エにおいて、検察官は、証人Cの平成○年○月○日付け検察官面前調書の該当部分の要旨を読み上げた上、「あなたは、以前、検察官に対し、このように供述したのではありませんか。」と質問した。
原則として書面朗読は避けるべきだが、321条1項2号後段の事由を立証する必要がある場合には例外的に許される。証人の前の供述と反するかなどを問う場面では、供述の確認として許容される。
根拠条文:刑事訴訟法199条の3第3項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の3第3項第6号・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の3第4項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条第1項第2号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法321条第1項第2号―現行条文本文
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
刑事訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:55)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
6 /
カ. 上記オにおいて、検察官は、証人Cの平成○年○月○日付け検察官面前調書末尾の供述人の署名押印部分を示し、「この署名押印は、あなたが自署し押印したものですか。」と質問した。
書面の成立・同一性の確認のため、署名押印部分を示して本人に確認する尋問は許される。供述内容の真偽を問うのではなく、証人が自ら作成・押印したかを確かめる趣旨である。
根拠条文:刑事訴訟法199条の10第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法199条の10第2項・e-Govで法令を開く
全体要旨
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