刑事訴訟法 第235問
教材: 刑事訴訟法②
予備試験 H29 第24問
論点: 証拠調べ
問題
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【事例】
甲は、冒頭手続において、甲がVの頭部を鉄パイプで殴打し、加療約1か月間の傷害を負わせた旨の公訴事実につき、これを認める旨の陳述をし、弁護人も被告人と同旨であるとの意見を述べた。
検察官は、公訴事実を立証するため、証拠書類のほか、Vの血液が付着した鉄パイプの証拠調べ請求を行い、弁護人は、証拠書類全てを証拠とすることに同意し、鉄パイプの証拠調べについては異議がない旨の意見を述べた。
検察官請求証拠の証拠調べ終了後、弁護人は、甲とVとの間の示談書及び甲がV宛てに郵送した反省文の写しの証拠調べ請求を行い、検察官は、これら全てを証拠とすることに同意した。
公式解答
22112
正誤・解説
ア /
検察官が、立証趣旨が同一で、内容が重複するVの供述書2通を請求した場合、裁判所は、弁護人が証拠とすることに同意している以上、いずれの供述調書も証拠として採用する決定をしなければならない。
321条以下の同意があっても、裁判所は関連性・必要性や証拠禁止に照らして請求を却下できる。重複する証拠があれば、少なくとも一方を却下できるので、「必ず両方採用」は誤り。
根拠条文:刑事訴訟法326条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法321条・e-Govで法令を開く同前条・e-Govを開く
刑事訴訟法326条第1項―現行条文本文
検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第三百二十一条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
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刑事訴訟法321条―現行条文本文
第三百二十一条
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を含む。次号において同じ。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異なつた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。
ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
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イ /
証拠として採用する決定があった証拠書類の取調べについては、必ず朗読の方法で行わなければならない。
305条1項は原則として朗読だが、裁判長が必要事項を要約告知する方法もある。また実務上も朗読以外の取調べが認められる。よって「必ず朗読」は誤り。
根拠条文:刑事訴訟法305条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法203条の2第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法305条第1項―現行条文本文
検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調べをするについては、裁判長は、その取調べを請求した者にこれを朗読させなければならない。
ただし、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記官にこれを朗読させることができる。
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ウ /
検察官は、鉄パイプの証拠調べにおいて、鉄パイプを被告人に展示する際、事件との関連性を被告人に質問しなければならない。
311条2項・3項は被告人の任意供述の機会を定めるが、展示時に関連性を質問する義務まではない。したがってこの記述は誤り。
根拠条文:刑事訴訟法311条第2項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法311条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法311条第2項―現行条文本文
被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。
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刑事訴訟法311条第3項―現行条文本文
陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。
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エ /
示談書の原本が取り調べられた後、弁護人は、裁判所の許可を得て、示談書の写しを提出することができる。
310条は、取調べ終了後の証拠書類・証拠物は遅滞なく提出しなければならないが、裁判所の許可があれば原本に代えて謄本・写しを提出できる。
根拠条文:刑事訴訟法310条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法310条―現行条文本文
第三百十条
証拠調を終つた証拠書類又は証拠物は、遅滞なくこれを裁判所に提出しなければならない。
但し、裁判所の許可を得たときは、原本に代え、その謄本を提出することができる。
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オ /
裁判所は、反省文の原本を取り調べることができない以上、その写しを証拠として採用する決定をすることはできない。
判例は、原本が存在しない場合や提出不能・著しい困難の場合には、写しの証拠能力を否定しない。よって「原本を取り調べられない以上、写しは採用不可」は誤り。
全体要旨
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