刑事訴訟法 第222問
教材: 刑事訴訟法②
司法試験 H18 第28問
論点: 訴因の特定と訴因変更の要否
問題
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【判例】
訴因と認定事実とを対比すると、(中略)犯行の態様と結果に実質的な差異がない上、共謀をした共犯者の範囲にも変わりはなく、そのうちのだれが実行行為者であるかという点が異なるのみである。そもそも、殺人罪の共同正犯の訴因としては、その実行行為者がだれであるかが明示されていないからといって、それだけで直ちに訴因の記載として罪となるべき事実の特定に欠けるものとはいえないと考えられるから、訴因において実行行為者が明示された場合にそれと異なる認定をするとしても、審判対象の画定という見地からは、訴因変更が必要となるとはいえないと解される。とはいえ、実行行為者がだれであるかは、一般的に、被告人の防御にとって重要な事項であるから、当該訴因の成否について争いがある場合等においては、争点の明確化などのため、検察官において実行行為者を明示するのが望ましいということができ、検察官が訴因においてその実行行為者の明示をした以上、判決においてそれと実質的に異なる認定をするには、原則として、訴因変更手続きを要するものと解するのが相当である。しかしながら、実行行為者の明示は、前記のとおり訴因の記載として不可欠な事項ではないから、少なくとも被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし、被告人に不意打ちを与えるものではないと認められ、かつ、判決で認定される事実が訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより不利益であるとはいえない場合には、例外的に、訴因変更手続きを経ることなく訴因と異なる実行行為者を認定することも違法ではないものと解すべきである。
公式解答
5
正誤・解説
1 /
訴因は、裁判所に対し、審判の対象を限定するという機能を有するとともに、被告人に対し、防御の範囲を示すという機能を有する。
判例は、訴因の機能として、審判対象を画する機能と防御範囲を示す機能を前提としている。したがって、この記述は判例の趣旨に合致する。
根拠条文:刑事訴訟法378条第3号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法378条第3号―現行条文本文
第三百七十八条
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
一 不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
二 不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三 審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
四 判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
刑事訴訟法は、訴因変更の要否の基準を直接に定めていないので、訴因制度の趣旨を踏まえつつ、訴因の果たすべき機能から、その基準を導き出すべきである。
判例・解説とも、訴因変更の要否は条文上直接明文がなく、訴因制度の趣旨や訴因の機能から判断する立場を示している。
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刑事訴訟法378条第3号―現行条文本文
第三百七十八条
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
一 不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
二 不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三 審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
四 判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
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3 /
裁判所が、訴因の特定に不可欠な事項について、訴因の記載と実質的に異なる事実を認定しようとする場合には、常に訴因変更手続が必要である。
判例は、訴因特定に不可欠な事項について訴因と実質的に異なる認定をする場合、原則として訴因変更手続が必要とする。選択肢は「常に」とあるが、ここでは例外なく必要とする趣旨として扱われている。
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刑事訴訟法378条第3号―現行条文本文
第三百七十八条
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
一 不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
二 不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三 審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
四 判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
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4 /
共謀共同正犯の訴因において、共謀の日時、場所等が明示されていなくても、訴因の特定に欠けるところはないという立場に立ち、上記判例の論理に従えば、検察官が共謀の日時、場所を訴因に明示した場合、判決において、それと実質的に異なる認定をするには、必ずしも訴因変更手続を要しない。
判例は、訴因に明示された重要事項を判決で実質的に異なる認定へ変えるには、原則として訴因変更手続が必要とする。例外はあるが、本肢のように「必ずしも要しない」と一般化するのは判例に反する。
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刑事訴訟法378条第3号―現行条文本文
第三百七十八条
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
一 不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
二 不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三 審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
四 判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
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5 /
殺人の共同正犯の訴因における実行行為者の記載は、訴因の特定に不可欠な事項ではないが、いったん訴因に明示されると、常に訴因としての拘束力を有する。
判例は、実行行為者の明示は訴因特定に不可欠ではない一方、常に拘束力を持つともいっていない。防御状況等により例外的に、訴因変更なしの異なる認定も許される。
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刑事訴訟法378条第3号―現行条文本文
第三百七十八条
左の事由があることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつてその事由があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
一 不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
二 不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
三 審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
四 判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
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全体要旨
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