刑事訴訟法 第141問
教材: 刑事訴訟法①
予備試験 R04 第20問
論点: 公訴時効
問題
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【事例】
甲及び乙は、令和3年1月5日、V方に侵入してVに暴行を加える旨の共謀を遂げ、同日夜、V方に侵入し、同月6日未明、帰宅したVに対して暴行を加え、傷害を負わせた。
【記述】
ア. 住居侵入罪の公訴時効は令和3年1月5日から進行する。
イ. 検察官が甲及び乙を傷害の事実により起訴した場合、住居侵入罪の公訴時効は停止しない。
ウ. 検察官が乙の共謀に基づく住居侵入、傷害の事実により甲を起訴した場合、これについても、公訴時効が停止する。
エ. 検察官が甲及び乙を起訴したが、両名のいずれに対しても所定の期間内に起訴状の謄本が送達されず、公訴が棄却された場合、公訴提起の効力が遡って失われることから、公訴時効は停止しなかったことになる。
オ. 甲及び乙が犯行後に海外に渡航している場合、一時的な渡航であっても、その間、公訴時効は停止する。
1. ア イ 2. ア エ 3. イ ウ 4. ウ オ 5. エ オ
公式解答
4
正誤・解説
ア /
住居侵入罪の公訴時効は令和3年1月5日から進行する。
判例・条文上、住居侵入罪は最終行為の時点を基準に公訴時効を考える。本件では暴行を加え傷害を負わせた令和3年1月6日未明から進行するので、1月5日からではない。
根拠条文:刑事訴訟法130条・e-Govで法令を開く刑事訴訟法204条・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法253条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法130条―現行条文本文
第百三十条
日出前、日没後には、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者の承諾がなければ、検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることはできない。
但し、日出後では検証の目的を達することができない虞がある場合は、この限りでない。
日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。
第百十七条に規定する場所については、第一項に規定する制限によることを要しない。
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刑事訴訟法204条―現行条文本文
第二百四条
検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
検察官は、前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。
検察官は、第一項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第三十七条の三第二項の規定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
第一項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
前条第二項の規定は、第一項の場合にこれを準用する。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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刑事訴訟法253条第1項―現行条文本文
時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。
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イ /
検察官が甲及び乙を傷害の事実により起訴した場合、住居侵入罪の公訴時効は停止しない。
共犯の一人に対する公訴提起による時効停止は他の共犯にも及ぶ。住居侵入と傷害が牽連犯であるため、傷害で起訴しても住居侵入罪の時効も停止する。
ウ /
検察官が乙の共謀に基づく住居侵入、傷害の事実により甲を起訴した場合、これについても、公訴時効が停止する。
共犯の一人である甲への公訴提起は、他の共犯である乙にも効果が及ぶ。判例も、共犯者の一人に対する起訴であれば他の共犯者についても時効停止の効果を認める。
根拠条文:刑事訴訟法254条第2項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法254条第2項―現行条文本文
共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。
この場合において、停止した時効は、当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。
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エ /
検察官が甲及び乙を起訴したが、両名のいずれに対しても所定の期間内に起訴状の謄本が送達されず、公訴が棄却された場合、公訴提起の効力が遡って失われることから、公訴時効は停止しなかったことになる。
起訴状謄本不送達による公訴棄却の場合でも、時効停止の効果は残ると判例は解する。したがって、遡及して時効停止がなかったことにはならない。
根拠条文:刑事訴訟法271条第2項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法339条第1項第1号・e-Govで法令を開く刑事訴訟法254条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法271条第2項―現行条文本文
公訴の提起があつた日から二箇月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。
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刑事訴訟法339条第1項第1号―現行条文本文
一 第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。
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刑事訴訟法254条第1項―現行条文本文
時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
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オ /
甲及び乙が犯行後に海外に渡航している場合、一時的な渡航であっても、その間、公訴時効は停止する。
犯人が国外にいる間は、たとえ一時的な海外渡航でも公訴時効は進行停止する。条文上の例外や限定はなく、判例も同旨。
根拠条文:刑事訴訟法255条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法255条第1項―現行条文本文
犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
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全体要旨
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