刑事訴訟法 第75問
教材: 刑事訴訟法①
司法試験 H20 第37問
論点: 権利保釈と勾留理由
問題
問題画像


抽出問題文を表示
【見解】
Ⅰ.一罪の一部を構成する可罰的行為についての勾留の効力は、起訴の有無にかかわらず、当然に他の部分に及ぶ。
Ⅱ.一罪の一部を構成する可罰的行為についての勾留の効力は、起訴の有無にかかわらず、他の部分に及ばない。
【事例】
甲は、平成○○年3月10日(a事件)に甲が経理係長として勤務する株式会社V所有の現金100万円を横領したという業務上横領事件で、同年5月1日、逮捕され、引き続き勾留された上、勾留のまま起訴された。甲には、同年3月12日(b事件)と同年4月15日(c事件)に、同様に株式会社V所有の現金各200万円を横領したという業務上横領の余罪があり、これらの事件はいまだ起訴されていない。a事件の第1回公判期日前である同年6月1日、甲の弁護人から、保釈請求がなされた。なお、a事件とb事件は包括一罪の関係にあり、これらとc事件は併合罪の関係にある。
【記述】
ア.Ⅰの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなくても、b事件に関して、それがある場合には、権利保釈は認められない。
イ.Ⅰの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなくても、c事件に関して、それがある場合には、権利保釈は認められない。
ウ.Ⅰの考え方に立ったとき、甲が常習としてa事件を犯したものであるか否かを判断するために、c事件の存在を考慮することは許されない。
エ.Ⅱの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなければ、b事件に関して、それがある場合であっても、この点を理由として権利保釈が否定されることはない。
オ.Ⅱの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなければ、c事件に関して、それがある場合であっても、この点を理由として権利保釈が否定されることはない。
カ.Ⅱの考え方に立ったとき、甲が常習としてa事件を犯したものであるか否かを判断するために、b事件の存在を考慮することは許されない。
公式解答
2. アエオ
正誤・解説
ア /
Ⅰの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなくても、b事件に関して、それがある場合には、権利保釈は認められない。
Ⅰでは一罪の一部についての勾留効力が他の部分にも当然に及ぶため、a事件で理由がなくても、包括一罪のb事件に罪証隠滅の相当理由があれば権利保釈は否定される。
根拠条文:刑事訴訟法89条第4号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法89条第4号―現行条文本文
第八十九条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
刑事訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:55)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
イ /
Ⅰの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなくても、c事件に関して、それがある場合には、権利保釈は認められない。
Ⅰでも勾留効力が当然に及ぶのは一罪の範囲内に限られる。c事件はa事件・b事件と併合罪関係であり、a事件の保釈判断にc事件の事情をそのまま用いて権利保釈を否定することはできない。
ウ /
Ⅰの考え方に立ったとき、甲が常習としてa事件を犯したものであるか否かを判断するために、c事件の存在を考慮することは許されない。
常習性の判断は行為者の前科・前歴、性格、素行、犯行の動機態様、犯行回数などを総合するので、c事件の存在を考慮することは許される。
根拠条文:刑事訴訟法89条第3号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法89条第3号―現行条文本文
第八十九条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
刑事訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:55)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
エ /
Ⅱの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなければ、b事件に関して、それがある場合であっても、この点を理由として権利保釈が否定されることはない。
Ⅱでは勾留効力は他の部分に及ばないので、a事件について相当理由がなければ、包括一罪のb事件に罪証隠滅の相当理由があっても、その点を理由に権利保釈は否定されない。
根拠条文:刑事訴訟法89条第4号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法89条第4号―現行条文本文
第八十九条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
刑事訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:55)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
オ /
Ⅱの考え方に立ったとき、a事件に関して、甲が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がなければ、c事件に関して、それがある場合であっても、この点を理由として権利保釈が否定されることはない。
Ⅱではa事件の勾留効力はc事件には及ばないから、c事件に相当理由があっても、それを根拠にa事件の権利保釈を否定することはできない。
根拠条文:刑事訴訟法89条第4号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法89条第4号―現行条文本文
第八十九条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
刑事訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:55)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
カ /
Ⅱの考え方に立ったとき、甲が常習としてa事件を犯したものであるか否かを判断するために、b事件の存在を考慮することは許されない。
常習性の判断は処分保全の範囲と別問題であり、Ⅰ・Ⅱいずれでもb事件の存在を考慮することは否定されない。
全体要旨
解説画像


自己評価
問題時間・解説時間は、 別ページへ移動した時点で確定します。
学習メモ
入力中の内容はこの端末へ自動的に下書き保存されます。 「メモを保存」を押すと改訂履歴へ追加し、 ログイン中はSupabaseへ同期します。
メモの保存履歴
過去版を編集欄へ復元しただけでは下書きです。 「メモを保存」を押すと新しい版として保存されます。