刑事訴訟法 第74問
教材: 刑事訴訟法①
予備試験 R02 第19問
論点: 別件逮捕・勾留
問題
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【見解】
Ⅰ.B事実について逮捕・勾留の要件が備わっているか否かを基準に適法性を判断すべきであり、捜査機関がB事実による逮捕・勾留中に主としてA事実の取調べを行う意図であるか否かは、B事実による逮捕・勾留の適法性に直接には影響せず、B事実について逮捕・勾留の理由と必要性が備わっている限り、裁判官はB事実での逮捕状請求や勾留請求を認容すべきである。
Ⅱ.逮捕・勾留の基礎となっているB事実の背後にあるA事実に着目して適法性を判断すべきであり、捜査機関がB事実に名を借りて実質的にはA事実の取調べを行う意図であることがうかがわれる場合には、B事実についての逮捕・勾留の理由と必要性が備わっていたとしても、裁判官はB事実での逮捕状請求や勾留請求を却下すべきである。
Ⅲ.B事実によって逮捕・勾留された後の身体拘束期間が、主としてA事実の捜査のために利用されるに至った場合には、それ以降の身体拘束は、B事実による逮捕・勾留としての実体を失い、A事実による身体拘束となっていると評価され、A事実による逮捕・勾留の要件が欠けるため違法である。
【記述】
ア.Ⅰの見解に対しては、捜査機関による身体拘束の濫用という脱法的本質を無視する考えであるとの批判がある。
イ.Ⅱの見解は、厳格な身体拘束期間の潜脱行為に対する事前防止を重視する立場である。
ウ.Ⅱの見解からは、仮にA事実について逮捕・勾留の理由と必要性が備わっている場合には、A事実について令状主義の核心である裁判官の審査を経ておらず、法の定めた厳格な身体拘束期間を潜脱する結果ともなるため、A事実の取調べを行う意図でB事実により逮捕・勾留することも違法となる。
エ.Ⅲの見解からは、B事実による身体拘束期間中に捜査機関がB事実の取調べと並行してA事実の取調べを行った場合、B事実による逮捕・勾留が常に違法となる。
オ.Ⅲの見解に対しては、裁判官が逮捕状請求や勾留請求の審査をするに当たってまず捜査機関の意図を調べなければならないことは実際的でないとの批判がある。
公式解答
4
正誤・解説
p1 /
Ⅰの見解に対しては、捜査機関による身体拘束の濫用という脱法的本質を無視する考えであるとの批判がある。
説明文では、Ⅰは「別件基準説」とされ、その批判として「捜査機関による身体拘束の濫用という脱法的本質を無視する」と明記されている。
p2 /
Ⅱの見解は、厳格な身体拘束期間の潜脱行為に対する事前防止を重視する立場である。
説明文では、Ⅱは「本件基準説」であり、別件逮捕・勾留の後に本件による逮捕・勾留が予定されているときは、厳格な身体拘束期間の潜脱結果となる点を根拠にする。記述イはその内容として不十分で、正しい説明ではない。
p3 /
Ⅱの見解からは、仮にA事実について逮捕・勾留の理由と必要性が備わっている場合には、A事実について令状主義の核心である裁判官の審査を経ておらず、法の定めた厳格な身体拘束期間を潜脱する結果ともなるため、A事実の取調べを行う意図でB事実により逮捕・勾留することも違法となる。
説明文では、Ⅱの見解でも「仮にA事実について逮捕・勾留の理由と必要性が備わっている場合」には、A事実の取調べ意図でB事実により逮捕・勾留することが直ちに違法とはいえないとされている。記述ウはこれと反する。
p4 /
Ⅲの見解からは、B事実による身体拘束期間中に捜査機関がB事実の取調べと並行してA事実の取調べを行った場合、B事実による逮捕・勾留が常に違法となる。
説明文では、Ⅲは「実体喪失説」であり、B事実による身体拘束が主としてA事実の捜査のために利用されるに至った場合に、それ以降が違法になるというもの。並行してA事実を取調べた場合に常に違法とはしていない。
p5 /
Ⅲの見解に対しては、裁判官が逮捕状請求や勾留請求の審査をするに当たってまず捜査機関の意図を調べなければならないことは実際的でないとの批判がある。
説明文では、Ⅲに対する批判として「裁判官が逮捕状請求や勾留請求の審査をするに当たってまず捜査機関の意図を調べなければならないことは実際的でない」と明記されている。
全体要旨
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