刑事訴訟法 第36問
教材: 刑事訴訟法①
司法試験 H23 第22問
論点: 告訴
問題
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【事例】
V(平成6年12月5日生、15歳)は、平成22年2月1日、インターネット上で名誉を毀損される被害を受け、すぐに、この被害を母親であるAに告げた。その際、Vは、Aに、この被害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわらず、(ア)同月2日、Aは、司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。その後の捜査により、同月10日、犯人がAとVの知人である甲であると判明し、その日のうちに、Aも司法警察員Xから甲が犯人であることを聞いた。そして、その日のうちに、Aは、Vに、犯人が甲である旨を伝えた。その後、Aは、甲から謝罪を受けたため、同年7月20日、前記告訴を取り消した。しかし、(イ)Vは、犯人が甲であると知った後、次第に甲を処罰してもらいたいという気持ちが高まっていったことから、同年7月31日、知人の司法巡査Yに、口頭で、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求めた。これに対し、司法巡査Yは、Vに、H警察署長を務める司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求めた。その後、Vは、司法巡査Yに対して被害を申告して甲の処罰を求めたこと及び司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求められたことをAに伝えた。そのため、(ウ)Aは、再度、考えを改め、同年8月5日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。さらに、(エ)Vも、同年8月20日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。その後、Vの父親であるBは、同年9月1日に初めてVが甲から名誉毀損の被害を負わされたことを知った。そして、(オ)Bは、同月2日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。なお、甲にVを被害者とする名誉毀損罪が成立することに争いはないものとする。
公式解答
12221
正誤・解説
ア /
同月2日、Aが司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらったことは、有効な告訴である。
被害者本人ではなくても、被害者の法定代理人は独立して告訴できる。Vが当時15歳で、Aは母親として法定代理人に当たるため、有効な告訴となる。
根拠条文:刑事訴訟法231条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法231条第1項―現行条文本文
被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
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イ /
Vが犯人が甲であると知った後、司法巡査Yに口頭で、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求めたことは、有効な告訴である。
告訴は書面又は口頭で検察官、司法警察員にしなければならないが、司法巡査はこれに含まれない。したがって、司法巡査Yへの口頭の申告は告訴として無効。
根拠条文:刑事訴訟法241条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法39条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法241条第1項―現行条文本文
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
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刑事訴訟法39条第3項―現行条文本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。
但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。
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ウ /
Aが再度、考えを改め、同年8月5日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出したことは、有効な告訴である。
告訴を取り消した者は、再び告訴できない。Aは7月20日に先の告訴を取り消しているので、8月5日の告訴状は無効。
根拠条文:刑事訴訟法237条第2項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法237条第2項―現行条文本文
告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
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エ /
Vが同年8月20日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出したことは、有効な告訴である。
親告罪の告訴期間は、犯人を知った日から6か月。Vが甲を知ったのは2月10日で、8月20日は6か月経過後ではないため、まだ告訴できる。
根拠条文:刑事訴訟法235条・e-Govで法令を開く刑事訴訟法55条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法235条―現行条文本文
第二百三十五条
親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。
ただし、刑法第二百三十二条第二項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第二百三十条又は第二百三十一条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。
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刑事訴訟法55条第1項―現行条文本文
期間の計算については、時で計算するものは、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない。
但し、時効期間の初日は、時間を論じないで一日としてこれを計算する。
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オ /
Bが同月2日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出したことは、有効な告訴である。
親告罪について告訴権者が複数いる場合、1人の期間経過は他の者に及ばない。Bが犯人を知ったのは9月1日なので、9月2日の告訴は期間内で有効。
根拠条文:刑事訴訟法236条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法236条―現行条文本文
第二百三十六条
告訴をすることができる者が数人ある場合には、一人の期間の徒過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。
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全体要旨
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