刑事訴訟法 第12問
教材: 刑事訴訟法①
予備試験 H28 第16問
論点: 令状の種類
問題
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【事例】
平成27年2月1日、H県J公園で、女性が血を流して死んでいる、との通報を受け、同公園に向かい、その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは、自ら検視を実施した。検視の結果、所持品等から、前記死体がH県内に住むVであることが判明し、胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで、Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。Xは、同日、J公園の草むらで、血痕が付着したナイフを発見し、その場にこれを置置した。また、Yは、前記検視の結果を踏まえ、Vの死体について捜査の必要から解剖を実施することとし、同月2日、Z医師により同死体が行われた。その結果、Vの死因は、胸部刺創による失血死であることが判明した。その後、J公園に設置された防犯カメラに、甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり、Xは、同月4日、甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは、同日、甲方に向かったところ、ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで、Xは、甲方前路上において、甲に前記逮捕状を示した上で、これを逮捕し、その際、甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け、その中物を取り出し、血の付いたシャツを認めたことから、同シャツをその場で差し押さえた。その後、Xは、I警察署において、逮捕された甲の指紋を採取し、甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
公式解答
3. 2個
正誤・解説
ア /
Yが検視を実施するには、検証許可状の発付を受ける必要がある。
検視は刑訴法229条1項に基づく変死者・変死の疑いある死体の検査であり、検証許可状は不要。
根拠条文:刑事訴訟法229条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法229条第1項―現行条文本文
変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。
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イ /
Xがナイフを領置するには、差押許可状の発付を受ける必要がない。
被疑者以外の者が遺留した物などは、刑訴法221条により領置でき、差押許可状は不要。
根拠条文:刑事訴訟法221条・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法221条―現行条文本文
第二百二十一条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。
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ウ /
ZがVの死体を解剖するには、鑑定処分許可状の発付を受ける必要がある。
死体解剖は刑訴法225条1項・168条1項の枠組みで鑑定処分として行われ、鑑定処分許可状が必要。
根拠条文:刑事訴訟法223条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法225条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法168条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法225条第2項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法223条第1項―現行条文本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
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刑事訴訟法225条第1項―現行条文本文
第二百二十三条第一項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第百六十八条第一項に規定する処分をすることができる。
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刑事訴訟法168条第1項―現行条文本文
鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けて、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、身体を検査し、死体を解剖し、墳墓を発掘し、又は物を破壊することができる。
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刑事訴訟法225条第2項―現行条文本文
前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければならない。
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エ /
Xがボストンバッグのチャックを開けて中の物を取り出し、シャツを差し押さえるには、捜索差押許可状の発付を受ける必要がない。
逮捕に伴う捜索・差押えとして、刑訴法220条1項2号・3項により令状を要しない。
根拠条文:刑事訴訟法220条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法220条第1項第2号・e-Govで法令を開く刑事訴訟法220条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法220条第1項―現行条文本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第百九十九条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。
第二百十条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。
一 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。
二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。
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刑事訴訟法220条第1項第2号―現行条文本文
二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。
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刑事訴訟法220条第3項―現行条文本文
第一項の処分をするには、令状は、これを必要としない。
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オ /
Xが甲の指紋を採取し、甲の顔写真を撮影するには、身体検査令状の発付を受ける必要がある。
身体拘束中の被疑者の指紋採取・写真撮影は刑訴法218条3項で、被疑者を裸にしない限り令状不要。
根拠条文:刑事訴訟法218条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法218条第3項―現行条文本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、電磁的記録提供命令をする場合において、必要があるときは、裁判官の許可を受けて、当該電磁的記録提供命令を受ける者に対し、一年を超えない期間を定めて、みだりに当該電磁的記録提供命令を受けたこと及び当該電磁的記録提供命令により提供を命じられた電磁的記録を提供し又は提供しなかつたことを漏らしてはならない旨を命ずることができる。
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全体要旨
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