民法 第710問
教材: 民法⑤
司法試験 H30 第33問(改)
論点: 相続の承認・放棄
問題
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公式解答
3. イ エ
正誤・解説
p1 /
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人に対して当該財産を引き渡すまでの間、善良な管理者の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
民法940条1項は、相続財産に属する財産を現に占有する場合の保存義務を定めるが、その相手方は相続人又は相続財産清算人である。記述は「相続人に対して」としており一致しない。
根拠条文:民法940条第1項・e-Govで法令を開く
民法940条第1項―現行条文本文
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
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p2 /
共同相続人に強迫されて相続の放棄をした者は、その旨を家庭裁判所に申述して放棄の取消しをすることができる。
錯誤・詐欺・強迫による意思表示は取消し得るところ、相続の承認・放棄にも民法919条2項・4項の規律が及ぶため、家庭裁判所への申述により取消しができる。
根拠条文:民法96条第1項・e-Govで法令を開く民法919条第1項・e-Govで法令を開く民法919条第2項・e-Govで法令を開く民法919条第4項・e-Govで法令を開く
民法96条第1項―現行条文本文
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
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民法919条第1項―現行条文本文
相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
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民法919条第2項―現行条文本文
前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
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民法919条第4項―現行条文本文
第二項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
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p3 /
相続人Aが相続の放棄をしたことにより相続人となったBが相続の承認をした場合であっても、Bの承認後にAが私に相続財産を消費した場合には、Aは単純承認をしたものとみなされる。
民法921条3号ただし書は、相続放棄後に相続人となった者が承認した後の行為については、その者に対しては単純承認みなしを及ぼさない。記述の「Aが相続財産を消費した場合」にAへのみなしを当然に認めるのは誤り。
根拠条文:民法921条・e-Govで法令を開く民法921条第3号・e-Govで法令を開く
民法921条―現行条文本文
第九百二十一条 (法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。
ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
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民法921条第3号―現行条文本文
第九百二十一条 (法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。
ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。
ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
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p4 /
限定承認者は、相続債権者及び受遺者に対する公告の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
限定承認後の公告期間満了前は弁済を拒めるが、民法927条1項は相続債権者等への公告を、民法928条はその期間満了前の弁済拒絶を定める。設問は公告の「期間の満了前」との関係で趣旨は近いが、説明画像では該当条文関係を踏まえたうえで不正解として扱われている。
根拠条文:民法927条第1項・e-Govで法令を開く民法928条・e-Govで法令を開く
民法927条第1項―現行条文本文
限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。
この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
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民法928条―現行条文本文
第九百二十八条 (公告期間満了前の弁済の拒絶)
限定承認者は、前条第一項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
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p5 /
共同相続人のうち一人が相続の放棄をした場合、他の共同相続人は限定承認をすることができなくなる。
民法923条は、複数の相続人がいるときの限定承認は共同相続人全員が共同してのみできるとするが、相続放棄をした者は初めから共同相続人でなかったものとみなされるため、他の共同相続人による限定承認が直ちに妨げられるわけではない。
根拠条文:民法923条・e-Govで法令を開く民法939条・e-Govで法令を開く
民法923条―現行条文本文
第九百二十三条 (共同相続人の限定承認)
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
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民法939条―現行条文本文
第九百三十九条 (相続の放棄の効力)
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
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全体要旨
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