刑法 第375問
教材: 刑法③
司法試験 H19 第19問
論点: 偽造文書の行使罪等
問題
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ア~オの各記述について、甲に( )内の犯罪が成立する場合には1、成立しない場合には2を選ぶ。
公式解答
21112
正誤・解説
p1 /
甲は、自ら不正に作成した偽造有印公文書である自動車運転免許証を携帯して自動車を運転中、制限速度違反を警察官Xに現認され、自動車運転免許証の提示を求められたので、どのみち免許証の偽造が発覚するであろうとあきらめ、偽造したものである旨自白して前記偽造に係る自動車運転免許証をXに提示した。(偽造有印公文書行使未遂)
偽造有印公文書行使は、真正文書として他人に交付・提示して、その内容を認識し得る状態に置くことが必要。単に運転中に携帯していただけでは足りず、提示しても偽造であると自白しているため、真正文書として行使したとはいえない。
根拠条文:刑法155条第1項・e-Govで法令を開く刑法158条第1項・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法155条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名(以下この章、第百六十五条及び第百六十七条において「印章等」という。)を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画(以下この章において「文書等」という。)を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章等を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書等を偽造する行為
二 公務所若しくは公務員の電磁的記録印章等(印章等として表示されることとなる電磁的記録をいう。以下この章、第百六十五条及び第百六十七条において同じ。)を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき電磁的記録文書等(文書等として表示されて行使されることとなる電磁的記録をいう。以下この章において同じ。)を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の電磁的記録印章等を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき電磁的記録文書等を偽造する行為
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刑法158条第1項―現行条文本文
第百五十四条から前条までの文書等若しくは電磁的記録文書等を行使し、同条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供し、又は同条第二項の電磁的記録を人の事務処理の用に供した者は、その文書等若しくは電磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書等若しくは電磁的記録文書等を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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p2 /
甲は、Aとのタレント契約交渉に際し、甲経営の会社の資産や経営状況を疑っていたAを安心させてその信用を確保するため、別のタレント用の支度金だと言って、自ら不正に作成した偽造小切手を真正なものとしてAに見せた。(偽造有価証券行使罪)
偽造有価証券行使は、偽造の手形・小切手を真正なものとして使用することを含む。偽造小切手を真正なものとして相手に見せた以上、行使に当たる。
根拠条文:刑法163条第1項・e-Govで法令を開く
刑法163条第1項―現行条文本文
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
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p3 /
甲は、遊び仲間のBにクレジットカードの借用を申し込まれたところ、見栄を張りたい気持ちから断れないままにこれを承諾したが、実際にはカードは所有しておらず、そのため、自ら不正に作成した自己名義の偽造クレジットカードを真正なクレジットカードとしてBに貸し渡した。(不正電磁的記録カード貸渡し罪)
不正に作られた電磁的記録カードを、その構成部分たるカードを同目的で譲渡・貸渡し等することは処罰対象。偽造クレジットカードを真正なものとして貸し渡したので、成立する。
根拠条文:刑法163条の2第1項・e-Govで法令を開く刑法163条の3・e-Govで法令を開く
刑法163条の2第1項―現行条文本文
人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
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刑法163条の3―現行条文本文
第百六十三条の三 (不正電磁的記録カード所持)
前条第一項の目的で、同条第三項のカードを所持した者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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p4 /
甲は、事務所として使用しているマンションの家主に対し、滞納している家賃を確実に返済できることを証明してその信用を得るための手立てとして、甲がC社に対して多数の債権を有していることを示すべく、自ら不正に作成した偽造有印私文書であり、貸主甲、借主C社とする両者名義の金銭消費貸借契約書を、真正な文書として司法書士Dに示し、同契約書に基づく公正証書の作成の代理嘱託を同人に依頼した。(偽造有印私文書行使)
偽造私文書を真正文書として示し、その内容を認識し得る状態に置けば行使に当たる。公正証書作成の依頼の前提資料として示しただけでも、公共の信用を害する危険があるため成立する。
根拠条文:刑法159条第1項・e-Govで法令を開く刑法161条第1項・e-Govで法令を開く
刑法159条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
二 他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造する行為
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刑法161条第1項―現行条文本文
前二条の文書等又は電磁的記録文書等を行使した者は、その文書等若しくは電磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載若しくは記録をした者と同一の刑に処する。
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p5 /
甲は、約束手形を偽造してこれを割り引きに出して利益を得ようと考え、自ら不正に作成したE社の振出しに係る約束手形1通を割り依頼のためにFに呈示したが、Fは、既に上記約束手形が偽造であることを甲の友人Gから聞いて知っていたため、割り依頼を断った。(偽造有価証券行使罪)
偽造有価証券行使は、相手方に真正の有価証券として認識させ、又は認識し得る状態に置くことが必要。相手方Fが偽造であることを知っており、真正なものとして認識させる結果がないため、未遂にとどまる。
根拠条文:刑法163条第1項・e-Govで法令を開く刑法163条第2項・e-Govで法令を開く
刑法163条第1項―現行条文本文
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法163条第2項―現行条文本文
前項の罪の未遂は、罰する。
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全体要旨
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