刑法 第352問
教材: 刑法③
司法試験 H28 第20問
論点: 財産罪の成否
問題
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【事例】
甲は、内縁の妻Aと同居していたところ、遊興費に窮し、A所有のドレス20着及び指輪1個と、A管理のA名義のクレジットカード1枚(その規約上、会員である名義人のみが利用でき、他人への譲渡、貸与等が禁じられ、また、加盟店は、利用者が会員本人であることを善良な管理者の注意義務をもって確認することが定められている。)を、Aの部屋から盗み出した。
甲は、両にドレス及び指輪の売却を仲介してもらおうと考え、これらの盗品を両方に運ぼうとした。しかし、甲は、ドレスが多くて一人で運ぶのが困難であったため、乙に対し、ドレスと指輪が盗品であることを告げた上で、ドレスと指輪のうち10着を甲が、残りのドレス10着を乙が、それぞれ運転する自動車に載せて丙宅へ運ぶこととし、これらの盗品を丙宅へ運んだ。
丙は、ドレス及び指輪を、甲がAから盗んできたものであることを承知した上で甲から預かり、甲からの依頼どおりに売却先を探すこととしたが、指輪についてはAが母親の形見として大切にしていたものであることを知っていたことから、高値でAに売り付けようと考え、後日、Aに対し、代金50万円で指輪を売却し、その売却代金を甲に渡した。
また、甲は、Aから盗んだクレジットカードを担保として丁から現金30万円を借りたが、その際、丁に対し、「これはA名義のクレジットカードだけど、Aから使用を許されており、お前がこのカードを利用して買物をしても、その利用代金はAにおいて決済される。」と伝えた。その後、甲が丁に対して金を返さなかったことから、丁は、甲の話を信じ、デパートにおいて、Aに成り済まして同カードを用いて腕時計1個を購入した。
公式解答
3. イ ウ
正誤・解説
ア /
甲がAの指輪を盗んだことにつき、甲の行為は窃盗罪に該当するが、Aは甲の内縁の妻であるから、刑法第244条第1項により刑が免除される。
窃盗罪自体は成立し得るが、刑法244条1項の刑の免除は配偶者等に限られ、内縁の配偶者には及ばないとする判例の立場。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く刑法244条第1項・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法244条第1項―現行条文本文
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
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イ /
乙が盗品のドレス10着を、窃盗犯人である甲が指輪とドレス10着を、それぞれ丙宅まで運搬したことにつき、乙は甲と共同してこれら盗品を運搬したのであるから、乙にはドレス20着全てと指輪について盗品等運搬罪が成立する。
共同して一部を分担運搬した場合、全体について共同正犯として盗品等運搬罪が成立するとする判例の立場。
根拠条文:刑法256条第2項・e-Govで法令を開く
刑法256条第2項―現行条文本文
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
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ウ /
丙がAを相手方として指輪の売却をあっせんしたことにつき、Aは窃盗の被害者であるが、丙には盗品等処分あっせん罪が成立する。
盗品等の処分あっせんは、被害者を相手方とする場合でも、被害回復を妨げ犯行を助長するおそれがあるとして処罰対象と解するのが判例。
根拠条文:刑法256条第2項・e-Govで法令を開く
刑法256条第2項―現行条文本文
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
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エ /
丁がA名義のクレジットカードで腕時計を購入したことにつき、丁は、Aから同カードの使用を許されており、かつ、自らの使用に係る同カードの利用代金がAにおいて決済されるものと信じていたので、丁に詐欺罪は成立しない。
名義人本人になりすましてカード利用により交付を受ける形態では、カード所持・利用権限や決済負担の認識があっても詐欺罪の成立は左右されないとする判例。
根拠条文:刑法246条第1項・e-Govで法令を開く
刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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全体要旨
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