刑法 第284問
教材: 刑法③
司法試験 H19 第17問
論点: 不法領得の意思
問題
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【事例】
ア.市議会議員選挙に際し、特定の候補者を当選させるため、後日その候補者の氏名を記載して投票の中に混入し同候補者の得票数を増加させる目的をもって、投票所管理者の保管する市議会議員選挙の投票用紙を持ち出した行為
イ.自己が振り出した小切手を呈示されてその支払を請求された際、その支払を拒むため、相手方からその小切手を取り上げ、着衣のポケットに突っ込んでそのまま返還しなかった行為
ウ.支払督促の債権者が、支払督促正本の送達に際し、支払督促の債務者を装い郵便配達員を欺いて支払督促正本を受領することにより、送達が適法にされたものとして支払督促の効力を生じさせ、債務者から督促異議申立ての機会を奪ったまま確定させて、その財産を不正に差し押さえようとし、支払督促正本はそのまま廃棄するつもりで、郵便配達員からその交付を受け、その後同支払督促正本を廃棄した行為
エ.銀行強盗の犯人が、犯行後逃走しようとし、銀行前の駐車場に止めてあった他人所有の自動車に乗り込み、適当な場所まで逃走した後は乗り捨てる、あるいは岸下等に転落させる意思で、同自動車を運転してその場から走り去った行為
オ.自己が勤務する会社のパソコンのハードディスクに記録されていたデータを自分の趣味に利用しようとし、会社内で、自己の所有するフロッピーディスクに同データをコピーした行為
公式解答
1. アⅡ イⅠ ウⅠ エⅡ オⅢ
正誤・解説
I /
毀棄隠匿罪に当たる。
事例アは、投票用紙を持ち出しても、後日混入する目的で自己のものとして利用する趣旨はないため、判例上、毀棄隠匿罪ではなく窃盗罪の問題となる。
根拠条文:刑法259条・e-Govで法令を開く
刑法259条―現行条文本文
第二百五十九条 (私用文書等毀棄)
権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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II /
領得罪に当たる。
事例イは、小切手を取り上げて返還しない行為につき、判例は「一時的にでも支配者を排除し自己の利益のために利用・処分する意思」を認め、窃盗罪の不法領得の意思ありとする。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く刑法246条第1項・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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III /
毀棄隠匿罪にも領得罪にも当たらない。
事例オは、会社のハードディスク内データを自己のフロッピーディスクへコピーしたにすぎず、データは財物でもなく、また原本の物理的損壊もないため、毀棄や窃盗のいずれにも当たらない。
根拠条文:刑法261条・e-Govで法令を開く
刑法261条―現行条文本文
第二百六十一条 (器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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全体要旨
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