刑法 第122問
教材: 刑法①
司法試験 R06 第16問
論点: 原因において自由な行為
問題
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【事例】
甲は、酒の力を借りて妻Vを殺害しようと決意し、心神喪失状態に陥る可能性があることを認識しながら、自宅において手元に包丁を用意して大量に飲酒し、その結果、心神喪失状態に陥り、計画どおり同包丁でVを刺突して殺害した。
【会話】
学生A. 私は、【事例】について飲酒行為を実行行為と捉え、甲に殺人罪が成立し、完全な刑事責任を問うことができると考えます。
学生B. 私も、【事例】の甲に殺人罪が成立し、完全な刑事責任を問うことができると考えますが、Aさんの見解とは異なり、刺突行為を実行行為と捉えます。
【発言】
1. あなたの見解によると、結果発生の危険との関連性が希薄な行為を実行行為と捉えることになってしまいませんか。
2. 私は、実行行為が完全な責任能力のある原因行為時における意思決定の実現であるといえば、完全な刑事責任を問うことは可能であると考え、実行行為の時点で責任能力が存在することは必要ないと考えます。
3. あなたの見解は、【事例】の甲は責任能力のない自己を道具のように利用して殺人を実行したと考えるのですね。
4. あなたの見解によると、仮に【事例】の甲が飲酒して眠り込んでしまい、刺突行為を全く行なわなかったとしても、殺人未遂が成立し得ることになりますが、それは不当ではないですか。
5. 私の見解によれば、実行行為の時点で責任能力が存在しなければならないとしつつ、【事例】の甲の可罰性を説明できます。
公式解答
5
正誤・解説
1 /
あなたの見解によると、結果発生の危険との関連性が希薄な行為を実行行為と捉えることになってしまいませんか。
説明文では、1は構成要件モデルへの批判として示され、Aの発言ではないとされている。内容もAの立場を批判する問いかけなので、学生Aの発言ではない。
2 /
私は、実行行為が完全な責任能力のある原因行為時における意思決定の実現であるといえば、完全な刑事責任を問うことは可能であると考え、実行行為の時点で責任能力が存在することは必要ないと考えます。
説明文では、2は責任モデルの立場を述べる発言で、AではなくBの発言とされている。したがって学生Aの発言ではない。
3 /
あなたの見解は、【事例】の甲は責任能力のない自己を道具のように利用して殺人を実行したと考えるのですね。
説明文では、3は構成要件モデルについての指摘であり、発言の主はBとされる。よってAの発言ではない。
4 /
あなたの見解によると、仮に【事例】の甲が飲酒して眠り込んでしまい、刺突行為を全く行なわなかったとしても、殺人未遂が成立し得ることになりますが、それは不当ではないですか。
説明文では、4も構成要件モデルへの批判であり、AではなくBの発言とされている。したがって学生Aの発言ではない。
5 /
私の見解によれば、実行行為の時点で責任能力が存在しなければならないとしつつ、【事例】の甲の可罰性を説明できます。
説明文では、5は「実行行為の時点で責任能力が存在しなければならない」としつつ甲の可罰性を説明するもので、構成要件モデルからの発言としてAの発言とされている。
全体要旨
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