刑法 第121問
教材: 刑法①
司法試験 R02 第9問
論点: 原因において自由な行為
問題
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【見解】
A. 責任能力がある状態で行われた原因行為を実行行為と捉える。
B. 責任能力を欠いた状態で行われた結果行為を実行行為と捉えつつ、責任能力は意思決定時に存在すれば足り、必ずしも実行行為時に存在することは必要ない。
【事例】
I. 甲は、X宅に赴いて同人を殺害しようと決意し、心神喪失状態に陥る可能性があることを認識しつつ、自宅において景気づけのために覚醒剤を使用したところ、心神喪失状態に陥り、当初の計画どおりXを殺害した。
II. 甲は、X宅に赴いて同人を殺害しようと決意し、心神喪失状態に陥る可能性があることを認識しつつ、自宅において景気づけのために覚醒剤を使用したところ、心神喪失状態に陥ったが、X宅には赴かず、Xの殺害には及ばなかった。
III. 甲は、覚醒剤を使用すると粗暴になり周囲に暴行を加える習癖があると知りつつ、覚醒剤を使用した結果、心神喪失状態に陥り、Xと口論になり、殺意を生じて同人を殺害した。
公式解答
3
正誤・解説
1 /
Aの見解によれば、事例Iでは、甲に、Xに対する殺人既遂罪が成立し得る。
A見解では、責任能力ある状態での原因行為を実行行為とみるため、事例Iでは覚醒剤使用時点が実行行為となり、そこに二重の故意も認められるとして殺人既遂が成立し得る。
2 /
Aの見解を採った上で、未遂犯の成立時期は結果発生の現実的な危険性が生じた段階に求められるべきで、それが常に実行行為の開始段階に認められる必然性はないと考えれば、事例IIでは、甲に、Xに対する殺人未遂罪は成立しない。
事例IIでは、A見解でも実行行為は原因行為だが、未遂成立時期を結果発生の現実的危険性発生時とみるなら、X宅に赴いておらず殺害の現実的危険がまだ生じていないとして未遂は否定される。
3 /
Aの見解によれば、事例IIIでは、甲に、Xに対する殺人既遂罪が成立し得る。
事例IIIでは、A見解でも実行行為は覚醒剤使用時点だが、その時点でX殺害についての構成要件的結果発生の認識があるとはいえず、二重の故意を欠くので既遂は否定される。
4 /
Bの見解によれば、事例Iでは、甲に、Xに対する殺人既遂罪が成立し得る。
B見解では、責任無能力時の結果行為を実行行為とし、責任能力は意思決定時にあれば足りる。事例Iでは殺害時に責任能力がなくても、意思決定時点の故意と実行行為時点の結果惹起認識を満たし得るため、既遂が成立し得る。
5 /
Bの見解によれば、事例IIでは、甲に、Xに対する殺人未遂罪は成立しない。
事例IIでは、B見解でも実行行為は結果行為だが、X宅に赴かずXの殺害にも至っていないので、そもそも実行行為がなく未遂は成立しない。
全体要旨
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