刑法 第79問
教材: 刑法①
司法試験 R01 第9問
論点: 被害者の承諾
問題
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公式解答
5
正誤・解説
1 /
甲は、乙の承諾を得て、乙から借り受けた乙所有の重機を丙に転貸していたが、同重機の修理のため一時これを丙から預かった際、乙の承諾を得て、丙に無断で、自己の借金の返済として同重機を自己の債権者に譲渡した。この場合、甲には、横領罪が成立する。
承諾を得て転貸された事情から、自己の占有物について委託の任務に背く「横領」といえるかが問題となるが、判例はこの事案では横領性を否定している。
根拠条文:刑法252条第1項・e-Govで法令を開く
刑法252条第1項―現行条文本文
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
甲は、自らが組長を務める暴力団の組員乙から、「暴力団を脱退したい。」との申出を受けたので、「落とし前として、指を詰めろ。」と言い、この承諾を得て、乙の右手小指の根元を出刃包丁で切断した。この場合、甲には、傷害罪は成立しない。
暴力団の脱退の「落とし前」としての指詰めでも、身体を傷害する違法性は当然には阻却されない。判例は傷害罪の成立を認めている。
根拠条文:刑法204条・e-Govで法令を開く
刑法204条―現行条文本文
第二百四条 (傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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3 /
甲は、乙との不倫関係を清算しようと考え、真実は、乙と心中するつもりはないにもかかわらず、乙に対し、「あの世で一緒になろう。私も君の後を追って死ぬから。」と言って心中を持ちかけ、その言質にしたがってこれを承諾した乙に毒薬を手渡したところ、乙がそれを飲んで死亡した。この場合、甲には、自殺関与罪が成立する。
相手が自殺する意思であっても、欺いて死を決意させた場合は通常の殺人罪となるとする判例の立場。自殺関与罪ではない。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く刑法202条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法202条―現行条文本文
第二百二条 (自殺関与及び同意殺人)
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
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4 /
甲は、知人乙から、「生活が著しく刑務所に入りたいので、私から脅されたという事実をでっち上げて、私を告訴してほしい。」と依頼され、この承諾を得て、乙を脅迫罪で告訴した。この場合、甲には、虚偽告訴罪は成立しない。
被告訴人に承諾があっても、告訴は公務の適正を害しうるため虚偽告訴罪の成立は妨げられないとする判例の立場。
根拠条文:刑法172条・e-Govで法令を開く
刑法172条―現行条文本文
第百七十二条 (虚偽告訴等)
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
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5 /
甲は、自らが刑務官を務める刑務所で受刑中の成人女性乙と恋愛関係になり、この承諾を得て、勤務中、同刑務所内において、乙と性交した。この場合、甲には、特別公務員暴行陵虐罪が成立する。
被害者の承諾があっても、特別公務員暴行陵虐罪は国家的法益に対する罪であり、承諾による違法性阻却は認められない。判例は成立を肯定する。
根拠条文:刑法195条第2項・e-Govで法令を開く
刑法195条第2項―現行条文本文
法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。
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全体要旨
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