刑法 第40問
教材: 刑法①
司法試験 R01 第7問
論点: 因果関係
問題
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【見解】
A.行為当時、客観的に存在した全ての事情及び行為後に生じた事情のうち一般人が予見できた事情を判断の基礎とし、その行為から結果が発生することが相当であると認められる場合に因果関係を肯定する。
B.一般人が認識・予見できたであろう事情及び行為者が認識・予見していた事情を判断の基礎とし、その行為から結果が発生することが相当であると認められる場合に因果関係を肯定する。
C.行為の危険が結果へと現実化したといえる場合に因果関係を肯定する。行為の危険性は行為時に存在した全ての事情を基礎として判断する。
【事例】
I.甲は、この顔面を手拳で1回殴打した。その殴打は、それだけで一般に人を死亡させるほどの強さではなかったが、乙はもともと特殊な病気により脳組織が脆弱となっており、その1回の殴打で脳組織が崩壊し、その結果、乙が死亡した。
II.甲は、乙の首をナイフで突き刺し、直ちに治療しなければ数時間のうちに死亡するほどの出血を来す傷害を負わせた。乙は、直ちに病院で適切な医療処置を受け、一旦体は安定したが、その後、医師の指示に従わず安静に努めなかったため、治療の効果が減殺され、前記傷害に基づき死亡した。
III.甲は、路上で乙の頭部を激しく殴打し、直ちに治療しなければ1日後には死亡するほどの脳出血を伴う傷害を負わせ、倒れたまま動けない乙を残して立ち去った。そのへんをたまたま通り掛かった無関係の通行人が、この腹部を多数回蹴って、内臓を破裂させ、数時間後に乙は内臓破裂により死亡した。
公式解答
ア / 1 / イ / 2 / ウ / 2 / エ / 1
正誤・解説
A /
Iの事例で、行為当時、乙は特殊な病気により脳組織が脆弱となっていることを一般人は認識できず、甲も認識していなかった場合、A及びCの見解からは肯定され、Bの見解からは否定される。
Aは客観的事情を広くとらえ、Cも危険の現実化として因果関係を肯定しうる。他方、Bは一般人・行為者の認識可能な事情を基礎にするため、特殊な病気を誰も認識していないなら否定方向になる。
B /
Iの事例で、行為当時、乙は特殊な病気により脳組織が脆弱となっていることを一般人は認識できず、甲も認識していなかったが、甲はこれを認識できた場合、AからCまでのいずれの見解からも肯定される。
Aは客観的に存在した事情を基礎にするが、一般人が認識できない特殊事情は原則として入らないと説明されている。Bも行為者の認識・予見が必要。したがって、甲が認識できたとしてもA・B・Cすべて肯定とはいえない。
C /
IIの事例で、行為当時、乙が治療を受けた後、医師の指示に従わず安静に努めなくなることを一般人は予見できなかったが、甲は予見していた場合、Bの見解からは肯定され、A及びCの見解からは否定される。
Aは行為後に生じた事情でも一般人が予見できたものを考慮し、Cも危険の現実化をみるので、医師の指示違反が因果関係を切るとは説明されていない。Bでは甲が予見していれば肯定される。
D /
IIIの事例で、行為当時、乙が通行人に蹴られることを一般人は予見できず、甲も予見していなかった場合、AからCまでのいずれの見解からも否定される。
一般人も甲も通行人の暴行を予見していないなら、その介在事情を基礎に因果関係を肯定できないとされる。説明ではA・B・Cいずれでも甲の行為と死亡結果の因果関係は否定。
全体要旨
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