刑法 第38問
教材: 刑法①
予備試験 H29 第1問
論点: 因果関係
問題
問題画像


抽出問題文を表示
公式解答
1 / 5
正誤・解説
1 /
甲が、Vの胸部、腹部及び腰部を殴打したり足蹴りしたりする暴行を加えたところ、それに耐えかねたVは、その場から逃走した際、逃げることに必死の余り、過って路上に転倒し、縁石に頭部を打ち付けたことによって、くも膜下出血により死亡した。この場合、甲の暴行とVの死亡との間には、因果関係がある。
判例は、被害者が暴行から逃れる過程で転倒・受傷し、その結果死亡した場合でも、暴行と死亡との因果関係を肯定している。本肢はその趣旨に合う。
2 /
甲が、Vを突き倒し、その胸部を踏み付ける暴行を加え、Vに血胸の傷害を負わせたところ、Vは、Vの胸腔内に貯留した血液を消滅させるため医師が投与した薬剤の影響により、かねてVが罹患していた結核性の病巣が変化して炎症を起こし、同炎症に基づく心機能不全により死亡した。この場合、甲の暴行とVの死亡との間には、因果関係がない。
判例は、被害者に既存の疾患があっても、暴行がその特殊事情を誘発・助長して死亡結果に至らせたなら因果関係を肯定している。本肢は「ない」とするので誤り。
3 /
甲は、自動車を運転中、過って同車をVに衝突させてVを同車の屋根に跳ね上げ、その意識を喪失させたが、Vに気付かないまま同車の運転を続けるうち、同車の助手席に同乗していた乙がVに気付き、走行中の同車の屋根からVを引きずり降ろして路上に転落させた。Vは、頭部打撲傷に基づくくも膜下出血により死亡したところ、同傷害は、自動車と衝突した際に生じたものか、路上に転落した際に生じたものかは不明であった。この場合、甲の衝突行為とVの死亡との間には、因果関係がある。
判例は、死亡原因となった傷害が衝突時と転落時のいずれで生じたか不明な場合、前段行為から死亡結果発生を当然に予想できるとはいえず、因果関係を否定している。本肢は誤り。
4 /
甲は、狩猟仲間のVを熊と誤認して猟銃弾を1発発射し、Vの大腿部に命中させて大量出血を伴う重傷を負わせた直後、自らの誤射に気付き、苦悶するVを殺害して逃走しようと決意し、更に至近距離からVを目掛けて猟銃弾を1発発射し、Vの胸部に命中させてVを失血により即死させた。Vの大腿部の銃創は放置すると十数分で死亡する程度のものである一方、胸部の銃創はそれ単独で放置すると半日から1日で死亡する程度のものであった。この場合、甲の2発目の発射行為とVの死亡との間には、因果関係がない。
判例は、後の射撃行為が単独でも死亡結果を生じさせ得る場合には、先行傷害との関係で因果関係を肯定している。本肢は「ない」とするが、説明では肯定しており誤り。
5 /
甲は、Vの頭部を多数回殴打する暴行を加えた結果、Vに脳出血を発生させて意識喪失状態に陥らせた上、Vを放置して立ち去った。その後、Vは、甲とは無関係な乙から角材で頭頂部を殴打される暴行を加えられ、死亡するに至った。Vの死亡は甲の暴行により形成された脳出血であり、この暴行は、既に発生していた脳出血を拡大させ、幾分か死期を早める影響を与えるものであった。この場合、甲の暴行とVの死亡との間には、因果関係がある。
判例は、先行暴行で死亡原因となる傷害が形成され、その後の第三者の暴行で死期が早まっても、先行暴行と死亡の因果関係を肯定する。本肢は正しい。
全体要旨
解説画像


自己評価
問題時間・解説時間は、 別ページへ移動した時点で確定します。
学習メモ
入力中の内容はこの端末へ自動的に下書き保存されます。 「メモを保存」を押すと改訂履歴へ追加し、 ログイン中はSupabaseへ同期します。
メモの保存履歴
過去版を編集欄へ復元しただけでは下書きです。 「メモを保存」を押すと新しい版として保存されます。