刑法 第36問
教材: 刑法①
司法試験 H26 第5問
論点: 因果関係
問題
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【事例】
スキューバダイビングの潜水指導者である被告人は、夜間、指導補助者としての経験が極めて浅く夜間潜水の経験も数回の指導補助者と、潜水経験に乏しく技術が未熟で夜間潜水の経験のない受講生を連れて、夜間潜水の講習指導を開始した。被告人は、指導補助者及び受講生と共に潜水を開始し、途中、魚を捕って受講生に見せた後、再び移動を開始したが、その際、指導補助者と受講生がそのまま自分に付いてくるものと考え、指導補助者に特別の指示を与えることなく、後方を確認しないまま前進した。この間、指導補助者と受講生は、魚の動きに気をとられて被告人の移動に気付かず、海流によって沖に流された。これにより、被告人は指導補助者と受講生を見失い、他方、指導補助者は被告人を探して沖に向かって数十メートル水中移動を行い、受講生もこれに追随した。指導補助者は、受講生の圧縮空気タンク内の空気量が少なくなっていることを確認して一旦海上に浮上したものの、風浪のため水面移動が困難であると判断し、受講生に再び水中移動を指示した。これに従った受講生は、自分の空気量を確認しないまま水中移動を続けたため、途中で空気を使い果たしてしまい、パニック状態に陥り、自ら適切な措置を採ることができないまま、で気死するに至った。
公式解答
3
正誤・解説
1 /
【判旨】は、行為時に一般人が認識・予見が可能であった事情及び行為者が特に認識・予見していた事情を考慮して因果関係の有無を判断する見解に立つことを示している。
判旨は、一般人基準ではなく、行為と結果の間に介在した被害者の行動も含めて、その誘発関係を踏まえつつ因果関係を否定しています。行為時に一般人が認識・予見可能だった事情を基準にする見解とはいえません。
2 /
【判旨】は、被告人の行為と結果発生との間の因果関係の有無を判断する際、その間に介在した被害者である受講生の行動と被告人の行為との関係を考慮していない。
判旨は、受講生が被告人を見失った後に示した不適切な行動が、被告人の行為から誘発されたものかを問題にしています。したがって、介在した受講生の行動と被告人の行為との関係を考慮しています。
3 /
【判旨】は、被告人の行為の危険性が結果へと現実化したか否かによって、被告人の行為と結果発生との間の因果関係の有無を判断したものと理解することができる。
正解肢です。判旨は、被告人の行為が受講生を危険な状態に陥らせ、その危険が結果として現実化したかどうかという観点から因果関係を判断しています。
4 /
【判旨】は、被告人の行為と結果発生との間に条件関係が認められれば、因果関係を肯定することを示している。
判旨は、単なる条件関係だけで因果関係を肯定していません。被告人の行為が危険を生じさせ、その危険が結果へ現実化したかをみており、条件関係だけでは足りません。
5 /
【判旨】は、被告人の行為が結果発生の危険性を有するものである場合には、第三者である指導補助者の適切を欠くどのような行為が介在したとしても、その行為は被告人の行為により誘発されたことになるとしている。
判旨は、介在行為が被告人の行為から誘発されたといえるかを具体的にみています。第三者の不適切行為が常に誘発されたことになる、という一般的な言い方まではしていません。
全体要旨
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