刑法 第34問
教材: 刑法①
司法試験 H23 第2問
論点: 因果関係
問題
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ア 甲は、深夜、高速道路上で自動車(甲車)を運転中、大型トレーラー(乙車)を運転中の乙とトラブルになり、乙車を道路妨害した上、追越車線上に乙車を停止させた。甲は、甲車から降り、乙を降車させた上、路上で乙に暴行を加えた後、甲車を運転して立ち去った。乙は、甲が立ち去った後、甲に奪われないためにズボンのポケットにエンジンキーを入れていたのを失念し、乙車を追越車線上に停車させたまま、エンジンキーを探していた。甲が立ち去ってから約5分後、後方から自動車を運転してきたVは、乙車を発見するのが遅れて自車を追突させ、Vはそれにより死亡した。(甲が乙車を追越車線上に停止させた行為)
イ 甲は、人通りの多い路上でVとけんかになり、Vの顔面を殴打したところ、Vは路上に転倒し、脳震とうを起こして一時的に意識を失った。甲がVを放置して逃走した後、日頃からVに恨みを持っていた乙が通り掛かり、意識を失っているVの腹部を多数回足で蹴ったところ、Vはこの暴行で生じた内臓の出血により死亡した。(甲がVの顔面を殴打して転倒させた行為)
ウ 甲は、高速道路のパーキングエリアに駐車中の自動車内で、V女と口論になり、感情が高ぶってV女の顔面を平手で1回殴打した。V女は、腹を立てて一人で帰宅しようと考え、車外に出て、高速道路の本線を横断し、反対車線側に設置された高速バスの停留所に行こうとしたところ、本線上を走行してきた乙運転の自動車にはねられ、全身打撲により死亡した。(甲が車内でV女を殴打した行為)
エ 甲は、Vを不法に逮捕した上、自動車後部のトランク内にVを監禁した状態で同車を発進させ、信号待ちのため路上で停車中、居眠り運転をしていた乙が自車を甲の運転する車両に追突させ、Vは追突により死亡した。(甲が運転中の自動車のトランク内にVを監禁していた行為)
オ 甲は、Vの後頸部に割れたビール瓶を突き刺し、Vに重篤な頸部の血管損傷等の傷害を負わせたため、Vは病院に搬送された。Vは、病院で手術を受け、容体が一旦は安定したが、医師からなお予断を許さないから安静を続けるように指示されていたにもかかわらず、医師の指示に従わずに病室内を動き回ったため、当初の傷害の悪化による脳機能障害により死亡した。(甲がVの後頸部をビール瓶で突き刺した行為)
公式解答
12211
正誤・解説
ア /
甲が乙車を追越車線上に停止させた行為とVの死亡との間に因果関係が認められる。
判例は、被告人の先行行為がその後の第三者や被害者の行為を誘発し、死亡結果まで自然的・相当因果的に連なっていれば因果関係を認める。甲の道路妨害と停車継続がV死亡につながるため認められる。
イ /
甲がVの顔面を殴打して転倒させた行為とVの死亡との間に因果関係が認められない。
甲の殴打でVは一時失神したにとどまり、死亡はその後の乙による腹部への多数回の蹴打で生じた内臓出血による。甲の暴行から死亡結果への因果関係は否定される。
ウ /
甲が車内でV女を殴打した行為とVの死亡との間に因果関係が認められない。
V女の高速道路本線横断は、甲の殴打により通常生じる反応の範囲を超えた危険な行動とはいえず、乙車にはねられた死亡結果を甲の暴行に帰責しにくい。
エ /
甲が運転中の自動車のトランク内にVを監禁していた行為とVの死亡との間に因果関係が認められる。
甲の監禁状態それ自体が危険を作出しており、追突事故という第三者の介在があっても、監禁と死亡の間の因果関係は否定されないとする判例が前提。
オ /
甲がVの後頸部をビール瓶で突き刺した行為とVの死亡との間に因果関係が認められる。
受傷後に被害者が安静指示に従わず病室内を動き回っても、当初傷害が悪化して死亡したのであれば、先行する加害行為との因果関係は認められる。
全体要旨
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