刑事訴訟法 第285問
教材: 刑事訴訟法②
予備試験 H27 第20問
論点: 実況見分調書
問題
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【事例】
司法警察員Kは、現住建造物に対する放火事件の捜査として、焼損した建造物につき、その所有者Vを立会人とする見分を行い、実況見分調書を作成した(実況見分調書には、Vの署名・押印のいずれもない)。Vが実況見分の際に建造物の特定の箇所を指し示しながら、Kに対し「ここにAが火を付けるのを見た。」旨説明したので、Kは、その箇所を写真撮影した後、同写真を実況見分調書に添付するとともに、Vの前記説明内容を実況見分調書に記載した。その後、Aが同事件の犯人として起訴された。検察官は、当該被告事件の公判前整理手続において、「建造物の焼損状況」を立証趣旨として実況見分調書の証拠調べを請求した。弁護人は、「Aは犯人ではなく、本件火災はVによる失火が原因である。」旨主張した上、実況見分調書について不同意の意見を述べた。
公式解答
12221
正誤・解説
ア /
弁護人は、裁判長から、不同意の理由として実況見分調書が真正に作成されたものであることを争う趣旨であるかについて釈明を求められた場合には、釈明する義務を負う。
規則208条1項は、裁判長が必要と認めるときは、訴訟関係人に対し釈明を求めることができると定める。これを受けて、当事者は釈明すべき義務を負う。
根拠条文:刑事訴訟法208条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法208条第1項―現行条文本文
第二百七条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
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イ /
実況見分調書につき、関連性があるとして証拠能力が認められるためには、Aが犯人であることを証明する必要がある。
関連性は要証事実を推認させる証明力の有無で判断する。ここでは立証趣旨が建造物の焼損状況なので、Aが犯人かどうかは関連性の要件ではない。
根拠条文:刑事訴訟法189条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法256条第3項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法298条第1項・e-Govで法令を開く刑事訴訟法312条第1項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法189条第1項―現行条文本文
警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。
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刑事訴訟法256条第3項―現行条文本文
公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。
訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。
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刑事訴訟法298条第1項―現行条文本文
検察官、被告人又は弁護人は、証拠調を請求することができる。
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刑事訴訟法312条第1項―現行条文本文
裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。
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ウ /
Kが火災原因の調査、判定に関して学識経験を有しない場合には、実況見分調書が真正に作成されたものであるとは認められない。
実況見分調書の真正は、検証結果を記載した書面としての性質や作成手続で判断される。調査・判定の学識経験の有無は、通常は真正性の判断要素ではない。
根拠条文:刑事訴訟法321条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法321条第3項―現行条文本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
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エ /
実況見分調書の証拠能力が認められるためには、K及びV両名に対する証人尋問が必要である。
実況見分調書が検証結果を記載した書面として真正に作成されたものと認められる場合、証人尋問はKに対するもので足り、Vに対する証人尋問までは要しない。
根拠条文:刑事訴訟法321条第3項・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法321条第3項―現行条文本文
検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
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オ /
裁判所は、実況見分調書が真正に作成されたものであることが認められても、実況見分調書におけるVの前記説明内容が記載された部分を、Aが犯人であることを証明する証拠として用いることはできない。
Vの説明部分をA犯人性の証拠として使うと、Kの供述内容だけでなくV供述の真実性も問題となる。実況見分調書の要件を満たしても、その部分をそのまま犯人性立証に用いることはできない。
根拠条文:刑事訴訟法321条第1項第3号・e-Govで法令を開く
刑事訴訟法321条第1項第3号―現行条文本文
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。
ただし、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
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全体要旨
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