刑事訴訟法 第255問
教材: 刑事訴訟法②
予備試験 R03 第22問
論点: 同種前科による犯人性の推認
問題
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【判例】「前科も一つの事実であり、前科証拠(被告人の前科の存在を示す証拠)は、一般的には犯罪事実について、様々な面で証拠としての価値(自然的関連性)を有している。反面、前科、特に同種前科については、被告人の犯罪性向といった実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすく、そのために事実認定を誤らせるおそれがあり、また、これを回避し、同種前科の証明力を合理的な推論の範囲に限定するため、当事者が前科の内容に立ち入った攻撃防御を行う必要が生じるなど、その取調べに付随して争点が拡散するおそれもある。したがって、前科証拠は、単に証拠としての価値があるかどうか、言い換えれば自然的関連性があるかどうかのみによって証拠能力の有無が決せられるものではなく、前科証拠によって証明しようとする事実について、実証的根拠の乏しい人格評価によって誤った事実認定に至るおそれがないと認められるときに初めて証拠とすることが許されると解すべきである。本件のように、前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合についていうならば、前科に係る犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、これが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって、初めて証拠として採用できるものというべきである。」
公式解答
2. 1個
正誤・解説
ア /
前科証拠を用いて、被告人と起訴に係る事件の犯人の同一性を証明しようとする場合、当該前科証拠と証明すべき事実との間に自然的関連性があるかどうかのみによって、その証拠能力の有無が決せられるわけではない。
判例は、前科証拠の証拠能力は自然的関連性だけで決まらず、人格評価による誤った事実認定のおそれがないことまで必要とする。
イ /
前科証拠を用いて、被告人と起訴に係る犯罪事実と同種の前科があるという事実から、起訴に係る事件の犯人が被告人であることを推認しようとする場合、実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすい。
同種前科は、被告人の犯罪性向という実証的根拠の乏しい人格評価につながりやすいと判例は述べる。
ウ /
前科証拠を用いて、起訴に係る事件の犯人が被告人であることを推認しようとする場合に伴う弊害には、訴訟の円滑な進行に支障をもたらすおそれがあることが含まれる。
判例は、前科の取調べに付随して争点が拡散し、訴訟の円滑な進行に支障を来すおそれを指摘している。
エ /
前科証拠を用いて、被告人と起訴に係る事件の犯人の同一性を証明しようとする場合において、当該前科に係る犯罪事実の有する特徴が顕著なものでないため、その特徴が起訴に係る犯罪事実と相当程度類似していても、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるとはいえないときは、これを証拠として採用することはできない。
同一性推認は、前科の犯罪事実が顕著な特徴を持ち、かつ起訴事実と相当程度類似して初めて可能となる。特徴が顕著でないなら採用できない。
オ /
事実認定者が前科証拠に触れることに伴う弊害を軽視することは相当ではないから、裁判員の参加する合議体が審理する事件においては、前科証拠を証拠として採用することはできない。
判例は、裁判員裁判だから前科証拠を一律に採用できないとは述べていない。前科の弊害は考慮要素だが、当然に排斥されるわけではない。
全体要旨
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