刑事訴訟法 第147問
教材: 刑事訴訟法①
司法試験 H19 第27問(改)
論点: 被告人の特定
問題
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【見解】
I.検察官が実際に起訴しようとした者が、だれであるかを基準とする。
II.起訴状に被告人として氏名を表示された者が、だれであるかを基準とする。
III.現に公判廷において被告人として行動した者が、だれであるかを基準とする。
【事例】
甲は、強盗罪で拘禁刑の実刑判決を受けて刑務所に服役し、その刑の執行を終えた。その後、甲は、無銭飲食による詐欺事件(①事件)を起こして逮捕勾留されたが、その際、身上等を知る乙の氏名等を詐称したため、検察官は、乙の氏名等を詐称している甲を犯人と考えて、その勾留中に、起訴状の被告人を乙と表示して詐欺罪で起訴した。裁判所は、この氏名等を詐称している甲を公判期日に出頭させて審理した上、拘禁刑に処するとともに、その刑の執行を猶予する旨の判決を宣告し、同判決は確定した。
さらに、甲は、自動車運転による業務上過失傷害事件(②事件)を起こし、弁護人拘束中で警察官の取調べを受けたが、その際、身上等を知る丙の氏名等を詐称した。甲から打ち明けられて事情を知った丙が、甲に代わって検察庁に出頭し検察官の取調べを受けたため、検察官は、丙を犯人と考えて、在宅のまま、起訴状の被告人を丙と表示して業務上過失傷害罪で起訴した。裁判所は、丙を公判期日に出頭させて審理した上、拘禁刑に処するとともに、その刑の執行を猶予する旨の判決を宣告し、同判決は確定した。
その後、甲は、窃盗事件を起こして現行犯逮捕され、同事件の逮捕勾留中も身上等を知る丁の氏名を詐称したものの、甲を取り調べた検察官が、その供述内容に不審を抱き捜査を遂げた結果、現在勾留中の被疑者は甲であること、甲は①事件では乙の氏名等を詐称し、②事件では丙の氏名等を詐称していたこと及びいずれの事件の判決の宣告も前記強盗罪の刑の執行を終った日から5年を経ていなかったことが判明した。このため、検察官は、裁判所に対し、刑法第26条第3号により、甲に執行猶予の必要的取消事由が存在することを理由に、①事件及び②事件における刑の執行猶予の言渡しの取消しを請求した。
公式解答
5
正誤・解説
1 /
Iの考え方に立てば、①事件は請求を却下し、②事件は執行猶予を取り消すべきである。
Iでは「実際に起訴しようとした者」を基準にするので、①事件も②事件も甲が対象となり、いずれも必要的取消事由がある。したがって、①のみ却下として②のみ取消しとする内容は合わない。
根拠条文:刑法26条第3号・e-Govで法令を開く
刑法26条第3号―現行条文本文
第二十六条 (刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
Iの考え方に立てば、①事件及び②事件とも請求を却下すべきである。
Iを前提にすると、検察官が実際に起訴しようとしたのは甲であるから、甲に対する各事件とも執行猶予取消しの対象となる。したがって、両事件とも却下という結論は誤り。
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刑法26条第3号―現行条文本文
第二十六条 (刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
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3 /
IIの考え方に立てば、①事件は執行猶予を取り消し、②事件は請求を却下すべきである。
IIでは起訴状に被告人として表示された者を基準にするので、①事件は乙、②事件は丙が被告人となる。いずれも甲の事情に基づく取消しはできず、①のみ取消しとするのは誤り。
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第二十六条 (刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
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4 /
IIの考え方に立てば、①事件及び②事件とも執行猶予を取り消すべきである。
IIでは被告人は起訴状記載の乙・丙であり、甲に対する必要的取消しは認められない。よって、両事件とも執行猶予取消しとするのは誤り。
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第二十六条 (刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
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5 /
IIIの考え方に立てば、①事件は執行猶予を取り消し、②事件は請求を却下すべきである。
IIIでは公判廷で被告人として行動した者を基準にするため、①事件は甲、②事件は丙となる。①は甲に対する取消事由が認められるが、②は丙に基づくため甲への取消しはできず、請求却下となる。
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第二十六条 (刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
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6 /
IIIの考え方に立てば、①事件及び②事件とも執行猶予を取り消すべきである。
IIIでは②事件の被告人は公判廷で出頭した丙であり、甲に対する執行猶予取消しの前提を欠く。したがって、①・②とも取消しとするのは誤り。
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第二十六条 (刑の全部の執行猶予の必要的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。
ただし、第三号の場合において、猶予の言渡しを受けた者が第二十五条第一項第二号に掲げる者であるとき、又は次条第三号に該当するときは、この限りでない。
一 猶予の期間内に更に罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
二 猶予の言渡し前に犯した他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について拘禁刑以上の刑に処せられたことが発覚したとき。
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